ガソリン代・高速代を同乗者と分けるとき|国土交通省の「実費」の考え方

友人や同僚を車に乗せて、ガソリン代や高速代を分けてよいのか。道路運送法第78条と、国土交通省の通達が示す「実費」の範囲、ガソリン代の計算式、対価とみなされうる例を原文にそって整理します。友人どうしの相乗りが通達に書かれていない点も明記します。

公開日 2026年9月21日

友人や同僚を車に乗せて出かけるとき、ガソリン代や高速代を分けるのは自然なことですが、「お金をもらって人を乗せると、いわゆる白タクになるのでは」と心配になる人もいます。この記事では、道路運送法の条文と、国土交通省の通達(ガイドライン)が「実費」をどう扱っているかを、原文にそって整理します。

先に断っておくと、この通達が想定しているのは、地域の互助やボランティア、宿泊施設の送迎など「運送」を行う場面です。友人どうしの相乗りや割り勘そのものは、条文にも通達にも出てきません。どこまでが原文に書かれていて、どこからが読み取りなのかを、分けて説明します。

結論
  • 道路運送法第78条は、自家用自動車を、災害などの場合を除き、有償で運送の用に供してはならないと定めています。
  • 通達は、「有償」を「運送サービスの提供に対する反対給付として財物を収受すること」としています。
  • その通達は、無償の運送であっても、謝礼と、ガソリン代などの「実費」を受け取ることは許され、許可や登録は不要だとしています。
  • 「実費」は、運送に必要な燃料代、道路通行料、駐車場料金、限られた保険料、車両借料(レンタカー代)です。
  • 燃料代の求め方も通達に書かれていて、「走行距離 ÷ 燃費 × 1Lあたりのガソリン価格」です。
  • 運賃表に従って払わせる、実費を超える金額を受け取るなど、実質的に運賃とみられる場合は「対価」とされます。個々の運送が有償かどうかは、事案ごとに総合的に判断されます。

条文:自家用自動車の有償運送は原則として禁止

道路運送法第78条は、自家用自動車(事業用自動車以外の自動車)は、次の場合を除いて、有償で運送の用に供してはならないと定めています。除外されるのは、災害のため緊急を要するとき、市町村や特定非営利活動法人などが登録を受けて行う自家用有償旅客運送、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合に国土交通大臣の許可を受けて行うときです。

通達は、この規定の趣旨を、自家用自動車では、旅客自動車運送事業のような輸送の安全や利用者の保護のための措置が一般には行われていないので、それが確実に行われていることを、許可や登録を通じて確認する必要があるためと説明しています。つまり、人を乗せて対価を得る行為に、安全を確認する仕組みを求める規定です。

「有償」とは何か

通達は、「有償」を「運送サービスの提供に対する反対給付として財物を収受すること」と定義し、これに当たるかどうかで、許可や登録が必要かどうかを判断するとしています。そのうえで、利用者から受け取るものが「反対給付」にあたらない場合として、次の2つを挙げています。

  • 謝礼:社会通念上、常識的な範囲の謝礼は、運送の対価ではありません。運送する人が金銭を求めず、利用者が謝礼として払ったのであれば、有償の運送とはいえません。
  • 実費相当分:運送が無償で行われる場合でも、ガソリン代などの「実費」を受け取ることは許されます。この場合は許可や登録は不要です。

「実費」に入るもの、入らないもの

通達は、「実費」を、運送(前後の回送を含む)に必要な、ガソリン等の燃料代、道路通行料、駐車場料金、保険料、そして、その運送を行うために発生した車両借料(レンタカー代)と定めています。

保険料には限りがあります。対象は、ボランティア団体やNPOなどが、1回あたりまたは1日あたりの無償運送を対象に提供されている保険や、レンタカーの借り受けに伴う一時的な保険などで、その車にもともと掛けられている自賠責保険と任意保険は、対象外だと明記されています。

この定義には、車の購入費や減価償却、車検、日ごろの整備などの費用は入っていません。通達がこれらの車両維持費を実費に含めてよいとしているのは、宿泊施設や学校などが、主として送迎を要する利用者のためだけに車両を購入・維持している場合の、利用料の差額についての箇所に限られます。個人が自分の車で人を乗せる場合に、維持費を上乗せしてよいと読める記述は、通達にはありません(これは通達の記述からの読み取りです)。

ガソリン代の計算式

通達は、ガソリン代の算出について、一般的には直近のガソリン価格などを使って、「走行距離(km)÷ 燃費(km/L)× 1Lあたりのガソリン価格(円/L)」で求められると示しています。運送を頻繁に行う場合は、一定の期間について「1kmあたり○円」と定めて概算する方法も、簡易な方法として認められています。

たとえば、片道100km(往復200km)を燃費15km/L、ガソリン170円/Lで走ると、ガソリン代は2,267円です。高速道路の通行料3,000円と駐車場代1,000円を加えた合計は6,267円で、運転者を含む4人で、100円単位で切り上げて分けると、同乗者は1人1,600円、運転者は端数を引き受けて1,467円になります(数字は説明のための例です)。この計算は、ガソリン代の計算で、ご自身の距離・燃費・ガソリン価格に置きかえて行えます。

「実費」は、実際にその運送に必要だった費用です。カタログに表示される燃費は、決められた試験条件での値で、実際の燃費は使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)で異なると、経済産業省・国土交通省・日本自動車工業会の資料も注意しています。実際に走った燃費(満タン法)で計算するほうが、実費に近づくと考えられます(これも読み取りです)。

実質的に運賃とみられる例

通達は、謝礼や実費と認められないものとして、次のような例を挙げています。

  • 運送を提供する人が運賃表を定めて、それに従って利用者が金銭を払う場合は、謝礼とは認められません。
  • 口頭やジェスチャーで強く謝礼を促すなど、謝礼の名を借りて実質的に運賃を求める場合は、謝礼とは認められません(燃料代などの実費を求めることは可能とも書かれています)。
  • 無償の運送を仲介するウェブサイトなどで、謝礼の金額を入力しないとサービスが提供されない、金額の多寡で利用者を選別するといった取扱いも、謝礼とは認められません。
  • 仲介者を通じても、名目や支払方法を問わず、謝礼と実費を超える金銭を受け取って運送の対価を得たとみられる場合は、有償の運送として許可や登録が必要になります。

通達は、いわゆる白タク行為への支払いを「謝礼」の名目にしても、謝礼にあたると広げて解釈してはならないとも述べています。

友人・同僚との相乗り(割り勘)をどう考えるか

友人や同僚との相乗りは、通達の具体例には出てきません。通達自体も、個々の運送が有償かどうかは、最終的には事案ごとに個別に総合的な判断をする必要があると述べています。そのため、「割り勘なら必ず問題ない」「必ず違法になる」とは、この記事では言えません。

そのうえで、通達の考え方から読み取れることを挙げると、次のようになります(読み取りであり、公式の見解ではありません)。実費として認められているのは、燃料代、通行料、駐車場料金などの、その運送で実際にかかった費用です。分けた金額がその範囲にとどまり、運転者が乗せることで利益を得ていなければ、通達が許容している実費の考え方に近い形になります。一方、実費を超える金額を集めたり、運賃表のように距離や人数に応じた料金を決めて募集したりすると、対価とみられるおそれが高まります。

迷うときは、国土交通省や、お住まいの地域を管轄する地方運輸局に確認してください。対価を得て人を運ぶ事業や、登録を受けた自家用有償旅客運送などは、この記事の対象ではありません。

この記事の限界

この記事は、令和6年3月1日付の通達(国自旅第359号)を、令和8年6月5日の一部改正を反映した版(2026年9月21日に国土交通省のページからたどれたもの)で読んだものです。通達は見直されることがあり、通達には、整理を定期的に見直す旨も書かれています。法律や通達は変わることがあるので、実際の判断には、最新の原文や公式の窓口をご確認ください。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。