有給休暇の付与日を統一すると、年5日の期限はどう変わる? 前倒し付与と期間の重なりの数え方

有給休暇を入社日や4月1日に前倒し・統一している会社では、年5日を取得させる期間の数え方が変わります。労働基準法施行規則24条の5と厚生労働省の資料にそって、期間が重なるときの日数(月数÷12×5)と、入社月ごとの早見表を整理します。

公開日 2026年9月25日

年5日の有給休暇取得義務は、付与した日(基準日)から1年以内に5日、というのが基本の形です。ところが、入社日に有給休暇を付与する、付与日を4月1日などに統一する、といった会社では、この「1年」の数え方が変わります。この記事では、労働基準法施行規則24条の5と、厚生労働省・労働局の資料にそって、前倒しで付与したとき、付与日を統一して期間が重なるとき、10日を分けて付与したときの数え方を整理します。

ここで扱うのは、条文と行政の資料が示している数え方です。個別の会社の付与日の決め方や就業規則が法令に合っているかは、この記事では判断できません。

結論
  • 法定どおり(入社から6か月後、以降1年ごと)に付与しているなら、基準日から1年以内、つまり次の基準日の前日までに5日です。
  • 法定の基準日より前に10日以上を付与したときは、その付与日から1年以内に5日です(施行規則24条の5第1項)。
  • 付与日を統一して年5日の期間が重なるときは、重なる期間を通した長さに応じた日数(月数÷12×5)を取得させることも認められています(同条2項)。使わなければならない方法ではありません。リーフレットの例では、2019年10月1日と2020年4月1日に付与する場合、18か月で7.5日です。
  • 10日を分けて前倒しで付与したときは、付与日数の合計が10日に達した日から1年以内に5日です。それより前に労働者が自分で取った日数は、5日から引きます(同条4項)。

基本:基準日から1年以内に5日

労働基準法39条7項は、有給休暇が10労働日以上付与される労働者に、基準日から1年以内に、そのうち5日について、使用者が時季を定めて与えなければならないと定めています。労働者が自分で請求して取った日や、計画年休で与えた日は、その日数分(5日まで)は使用者が時季を指定する必要がなく(同条8項)、5日に数えられます。

厚生労働省のリーフレットの例では、2019年4月1日に入社し、6か月後の2019年10月1日に10日を付与された人は、2019年10月1日から2020年9月30日までの1年間に5日が対象です。法定どおりに付与された場合の日付の一覧は、有給休暇の付与日数計算で確認できます。

法定の基準日より前に付与すると、その日から数える

入社と同時に10日を付与するなど、法定の基準日(雇入れの日から6か月後)より前に10日以上を付与した場合は、付与した日から1年以内に5日を取得させなければなりません(施行規則24条の5第1項)。リーフレットの例では、2019年4月1日の入社時に10日を付与すると、2019年4月1日から2020年3月31日までの1年間が対象になります。法定の基準日の2019年10月1日から数えるのではありません。

その1年間が過ぎたあとは、その翌日から1年ごとに区切った各期間の初日が基準日とみなされます(同条3項)。長野労働局の資料は、この例では2年目の4月1日からの1年間に5日の指定義務がかかるとしています。

基準日を月初にそろえる会社の例も、リーフレットにあります。2019年4月10日と4月20日に入社した人は、法定どおりなら10月10日と10月20日に付与されますが、10月1日にそろえて付与すると、どちらも2019年10月1日から2020年9月30日までの1年間に5日が対象になります。5月15日と5月25日に入社した人を11月1日にそろえた場合は、2020年10月31日までです。

付与日を統一して、期間が重なるとき

入社2年目以降の付与日を全社員で4月1日などに統一すると、最初の付与から1年以内に、次の付与日が来る人が出ます。リーフレットの例は、2019年4月1日に入社し、法定どおり2019年10月1日に10日を付与し、翌年度からは全社的に4月1日に付与する会社です。このままだと、2019年10月1日を基準日とする1年間(2020年9月30日まで)と、2020年4月1日を基準日とする1年間(2021年3月31日まで)に、それぞれ5日を取得させる必要があり、2020年4月1日から9月30日までの半年間は2つの期間が重なります。

期間が重なったときは、重なる期間を通した期間(前の期間の始期から後の期間の終期まで)の長さに応じた日数を、その期間に取得させることも認められています。施行規則24条の5第2項は、使用者が基準日(または第一基準日)に10労働日以上を与え、そこから1年以内の特定の日(第二基準日)に新たに10労働日以上を与えるときは、基準日から「第二基準日から1年を経過する日」までを履行期間として、「履行期間の月数を12で除した数に5を乗じた日数」を、その期間中に時季を定めて与えることができる、と定めています。

上の例では、履行期間は2019年10月1日から2021年3月31日までの18か月なので、18÷12×5=7.5日です。リーフレットは、労働者が半日単位の取得を希望して使用者がこれに応じた場合は7.5日以上、それ以外は8日以上としています。

この方法は、管理を簡単にするために「認められる」ものとして示されていて、使わなければならないものではありません。使わない場合は、それぞれの期間で5日ずつを管理することになります(リーフレット)。

月数に端数が出るときの数え方

履行期間の月数がちょうどの月数にならないときの数え方は、長野労働局の「労働条件ハンドブック」に書かれています。原則は次の3段階です。

  • 基準日から、翌月の応答日の前日までを1か月と数えて、月数と端数の日数を出します(基準日の翌月に応答日がなければ、翌月末日で1か月)。
  • 端数の日数を最終月の暦日数で割り、1の月数に足します。
  • その月数を12で割って5を掛けた日数を取得させます。1日未満の端数は、1日(半日単位で取得できるときは0.5日)に切り上げます。

資料が挙げている例は、4月22日に入社し、初年度は10月22日に、翌年度は4月1日に付与する場合です。履行期間は10月22日から翌々年の3月31日までで、17か月と、3月22日から3月31日までの10日です。10日を3月の31日で割ると0.32…なので、月数は17.32…になり、17.32…÷12×5=7.21…日です。半日単位で取得するなら7.5日、そうでなければ8日を取得させることも認められる、とされています。

資料は、月未満の端数をすべて1か月に切り上げ、算出した日数の1日未満の端数をすべて1日に切り上げる簡易な方法でも差し支えない、としています。この例では、18か月×5÷12=7.5日で、8日になります。

入社月ごとの早見表(4月1日に統一する会社の例)

次の表は、2026年中に月初め(1日)に入社した人について、法定どおり6か月後に10日を付与し、次の4月1日に新たに10日以上を付与する会社の場合の履行期間と日数を、施行規則24条の5第2項と、上の資料の数え方で求めたものです。表の計算が、ここまでに挙げた3つの例(18か月で7.5日、21か月で8.75日、17か月と10日で7.21…日)を再現できることは、確かめてあります。

入社日最初の付与日4月1日の付与日履行期間月数取得日数(1日単位/半日単位)
2026年1月1日2026年7月1日2027年4月1日2026年7月1日〜2028年3月31日21か月9日/9日
2026年2月1日2026年8月1日2027年4月1日2026年8月1日〜2028年3月31日20か月9日/8.5日
2026年3月1日2026年9月1日2027年4月1日2026年9月1日〜2028年3月31日19か月8日/8日
2026年4月1日2026年10月1日2027年4月1日2026年10月1日〜2028年3月31日18か月8日/7.5日
2026年5月1日2026年11月1日2027年4月1日2026年11月1日〜2028年3月31日17か月8日/7.5日
2026年6月1日2026年12月1日2027年4月1日2026年12月1日〜2028年3月31日16か月7日/7日
2026年7月1日2027年1月1日2027年4月1日2027年1月1日〜2028年3月31日15か月7日/6.5日
2026年8月1日2027年2月1日2027年4月1日2027年2月1日〜2028年3月31日14か月6日/6日
2026年9月1日2027年3月1日2027年4月1日2027年3月1日〜2028年3月31日13か月6日/5.5日
2026年10月1日2027年4月1日2028年4月1日最初の付与日が統一日と同じで、期間は重なりません(2027年4月1日〜2028年3月31日の1年間に5日)
2026年11月1日2027年5月1日2028年4月1日2027年5月1日〜2029年3月31日23か月10日/10日
2026年12月1日2027年6月1日2028年4月1日2027年6月1日〜2029年3月31日22か月10日/9.5日

表から読み取れること(この記事の計算です):

  • 期間は13か月から23か月まで、日数は6日から10日までです。最初の付与日が4月1日の直前(2027年3月1日)だと13か月で5.42日(切り上げて6日)、4月1日の直後(2027年5月1日)だと23か月で9.58日(切り上げて10日)になります。
  • 月数×5÷12という式なので、どの入社月でも1年あたり5日のペースは変わりません。1日単位で切り上げるため、実際に必要な日数はその計算値より1日弱、多くなります。
  • この表の入社日はすべて月初めなので、月未満の端数は出ません。月の途中に入社した人は、上のハンドブックの例のように端数が出ます。

表の前提は、最初に10日、4月1日に新たに10日以上を付与することです(通常の労働者の場合。パートなどで付与日数が10日に満たない人は、年5日の対象外です)。4月1日の付与は、10月入社の人を除いて、法定の基準日(雇入れの日から1年6か月後)より早い付与です。

10日を分けて前倒しで付与したとき

10日のうち一部だけを法定の基準日より前に付与する会社もあります。この場合は、付与した日数の合計が10日に達した日から1年以内に5日を取得させます(施行規則24条の5第4項)。リーフレットの例では、2019年4月1日の入社時に5日、2019年7月1日にさらに5日を付与すると、合計が10日になった2019年7月1日から2020年6月30日までの1年間に5日を取得させます。

入社時に付与された5日について、労働者が2019年4月1日から6月30日までに自分で請求して取っていた日数(計画年休を含みます)は、5日から引きます。リーフレットの図では、その間に2日取っていれば、残りは3日です。

このように初年度に一部を前倒ししたときは、次年度以降の付与日も、初年度と同じか、それ以上の期間、法定の基準日より繰り上げなければなりません(リーフレット)。この例では、遅くとも2020年4月1日までに付与します。その結果、次の期間と重なるので、上の按分が使えます。リーフレットは、2019年7月1日から2021年3月31日までの21か月に、21÷12×5=8.75日、つまり9日を取得させることも認められるとしています。

この記事で確認できていないこと

  • 重なった期間の中で取った日が、2つの期間の両方で5日に数えられるかどうかは、この記事で読んだ資料には書かれていません。
  • 端数の日数が2つの月にまたがる場合の割り方は、ハンドブックに例がありません。この記事の数字は、端数が出ない月初の入社と、ハンドブックの4月22日入社の例だけです。
  • 按分(同条2項)を使えるのは、条文では、基準日(第一基準日)と第二基準日の両方で、それぞれ10労働日以上を与える場合です。
  • 条文は、e-Govの本文を2026年9月25日に確認したものです。リーフレットは2023年2月版、ハンドブックは2026年2月版です。制度や資料が改められたときは、最新のものを確認してください。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。