車を解体業者に引き渡して廃車にするとき、「廃車(永久抹消登録)は、解体した日から15日以内」と説明されることがあります。ところが、道路運送車両法15条1項は、使用済自動車の解体の場合の15日を、解体した日ではなく、「解体報告記録がなされたことを知つた日」から数えると書いています。この記事では、解体報告記録が何を指すのか、いつ「知った日」になるのか、車を引き渡した日から数えるとどれだけずれるのかを、条文と運輸支局の案内で整理します。
- 永久抹消登録は、滅失・解体・用途廃止があったときに15日以内です(道路運送車両法15条1項)。ただし、使用済自動車の解体の場合は、事由があった日ではなく、解体報告記録がなされたことを知った日から数えます。
- 解体報告記録は、自動車登録令46条が定める記録で、解体業者が解体自動車を解体自動車全部利用者に引き渡したとき、または破砕業者が解体業者から解体自動車を引き取ったときの、情報管理センターへの報告の記録です。車を業者に引き渡した日でも、解体が終わった日でもありません。
- 引取業者は、解体報告記録がなされたことを確認したら、所有者に通知します(同法15条2項。通知の期限は条文にありません)。運輸支局の案内は、解体報告の通知を受けてからでないと申請できないとしています。
- 例では、車を引き渡した日(2026年10月1日)から数えると15日目は2026年10月15日・2026年10月16日ですが、解体報告記録を知った日(2026年10月22日)から数えると2026年11月5日・2026年11月6日です。
条文: 15日の起算は、事由によって2種類ある
道路運送車両法15条1項は、登録自動車の所有者に、次の場合に15日以内の永久抹消登録の申請を求めています。(1)登録自動車が滅失し、解体し(整備・改造のための解体を除く)、または自動車の用途を廃止したとき、(2)車台が新規登録の際のものでなくなったとき。起算の日は、「その事由があつた日(当該事由が使用済自動車の解体である場合にあつては、…解体報告記録がなされたことを知つた日)」です。つまり、解体のときだけ、起算の日が「知った日」になります。申請をしなかった者には、50万円以下の罰金の規定があります(109条2号)。
同じ起算の書き方は、検査証の返納(69条1項)、一時抹消登録をしたあとの解体等の届出(16条2項)、軽自動車の解体等の届出(69条の2第1項)にもあります。一方、運行をやめるだけなら期限のない一時抹消登録を選べます(16条1項)。
解体報告記録とは
15条1項の「解体報告記録」は、「政令で定める記録」とされています。その政令の自動車登録令46条は、使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)81条9項により解体業者が解体自動車全部利用者に解体自動車を引き渡したとき、または81条10項により破砕業者が解体業者から解体自動車を引き取ったときの、情報管理センター(自動車リサイクルシステム)への報告の記録としています。
自動車リサイクル法の移動報告は、引取業者・解体業者・破砕業者などが、使用済自動車や解体自動車を引き取った、または引き渡したときに、それぞれ情報管理センターに報告する仕組みです。施行規則は、その報告を、引き取った日(引き渡した日)から3日以内と定めています(83条3項・84条3項・89条2項・91条2項・92条2項)。解体報告記録は、その連なりの中の、解体自動車を次の業者に引き渡した(または引き取った)ときの報告です。解体業者が車を解体し終えたこと自体を指す言葉ではありません。
この連なりには時間がかかることがあります。施行規則106条1項は、解体業者の引取実施報告から120日たっても、解体業者の引渡しの報告(81条8項・9項)が情報管理センターに届かないときに、センターが通知を出す期間を定めています。通知が出るのは異常があるときで、通常の所要日数を定めたものではありませんが、引き取りから解体報告記録がなされるまでが数日とは限らないことを示しています。
例:車を引き渡した日から数えるか、知った日から数えるか
2026年10月1日に引取業者へ車を引き渡し、2026年10月20日に解体報告記録がなされ、2026年10月22日に引取業者からの通知でそれを知った、という例です(日付は数え方を見せるための作り話です)。
| 起算する日 | その日を1日目に数えた15日目 | 翌日から数える(民法140条) |
|---|---|---|
| 車を引き渡した日(2026年10月1日)← 条文の起算ではない | 2026年10月15日 | 2026年10月16日 |
| 解体報告記録がなされたことを知った日(2026年10月22日) | 2026年11月5日 | 2026年11月6日 |
| 通知が遅れて、知ったのが2026年11月10日だったとき | 2026年11月24日 | 2026年11月25日 |
数え方(その日を1日目に数えるか)を述べた資料は確認できていないので、2通りを並べています。自分の日付で計算するには、車の名義変更・住所変更・廃車の期限の計算で「使用済自動車の解体による廃車」を選び、知った日を入れてください。
「知った日」はどう決まるか、運輸支局の案内
- 引取業者は、解体報告記録がなされたことを確認したときは、自らが所有者である場合を除き、その旨を所有者に通知するものとされています(道路運送車両法15条2項)。通知の期限は書かれていません。
- 新潟運輸支局は、「使用済み自動車の解体報告の通知を受けてからでないと申請をすることができません」と案内し、申請書に移動報告番号(解体業者からの解体証明書に記載)を書くとしています。東北運輸局も、申請書に「解体報告記録がなされた日、移動報告番号」を書くとしています。
- 運輸支局は、申請を受けたときに、情報管理センターに、車台番号・移動報告番号・解体報告記録がなされた年月日などを照会できます(自動車登録規則32条)。
- 長野運輸支局のQ&Aは、「自動車が滅失、解体等によりなくなった場合は、その日から15日以内に抹消登録を申請する必要があります」と簡単に案内しています。解体の場合は、15条1項のとおり「その日」が解体報告記録を知った日になる、というのがこの記事の読みです。
一時抹消登録をしているとき、軽自動車のとき
- 一時抹消登録を受けた車をあとで解体したときは、永久抹消登録ではなく、解体の届出です(16条2項)。起算は同じで、解体報告記録がなされたことを知った日から15日以内です。届出をしなかったときは、30万円以下の罰金の規定があります(110条3号)。
- 軽自動車(検査対象軽自動車)の解体は、検査証の返納(69条1項)と解体等の届出(69条の2第1項)で、どちらも同じ起算です。
この記事で確認していないこと
- 通知を口頭・書面・メールなどのどの方法で受けたら「知った日」になるか、通知が来なかったときに、いつ「知った」ことになるか。条文にも運輸支局の案内にも、確認できませんでした。
- 解体報告記録がなされるまでの、実際の日数。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトは、この日、閲覧できませんでした。
- 車検の残存期間があるときの自動車重量税の還付、自動車税・自賠責保険の扱い、所有権留保の車の手続き。
- 条文は、e-Govの現行の本文を2026年10月14日に確認しました(道路運送車両法は2026年4月1日施行、自動車登録令は2026年5月21日施行、使用済自動車の再資源化等に関する法律は2026年6月19日施行)。個別の事情での判断は、管轄の運輸支局・軽自動車検査協会に確認してください。
出典
- e-Gov法令検索 — 道路運送車両法(15条 永久抹消登録、16条 一時抹消登録、69条 検査証の返納、69条の2 軽自動車の解体等の届出、109条・110条 罰則)
- e-Gov法令検索 — 自動車登録令(46条 解体報告記録)
- e-Gov法令検索 — 自動車登録規則(1条の2 保存記録ファイルに記録する事項、32条 情報管理センターに対する照会)
- e-Gov法令検索 — 使用済自動車の再資源化等に関する法律(81条 移動報告、88条 都道府県知事への報告等)
- e-Gov法令検索 — 使用済自動車の再資源化等に関する法律施行規則(83・84・89・91・92条 移動報告の報告事項と期間(3日)、106条 確認通知までの期間)
- 国土交通省 北陸信越運輸局 新潟運輸支局 — 永久抹消登録、解体届出(使用済み自動車の解体報告の通知を受けてからでないと申請できない。申請書に移動報告番号)
- 国土交通省 東北運輸局 — 永久抹消登録(解体報告記録がなされた日・移動報告番号。一時抹消済みの自動車を解体した場合は「解体の届出」)
- 国土交通省 北陸信越運輸局 長野運輸支局 — 登録のQ&A(滅失・解体等によりなくなった場合は「その日から15日以内」と案内)