毎年3月に狂犬病予防注射を受けている犬は、令和9年(2027年)の3月に受けても令和9年度にならない? 注射済票の年度が13か月になる令和8年度

令和9年3月2日から、狂犬病予防注射は4月1日〜6月30日の限定がなくなり通年になり、注射済票の年度は4月1日で切り替わります。そのため令和8年度は令和8年3月2日〜令和9年3月31日の約13か月になり、令和9年3月に注射しても令和9年度の票にならず、大阪市は令和9年度に再度接種するよう案内しています。毎年3月に受けている犬の注射日ごとの票の年度、年度の日数、厚生労働省の通知と市区町村の案内の違いを整理します。

公開日 2026年10月13日

令和9年(2027年)3月2日から、狂犬病予防注射は「4月1日から6月30日の間」という限定がなくなり、通年で受けられるようになります。ところが、この改正には、毎年3月に注射を受けている犬の飼い主だけが引っかかる落とし穴があります。注射済票の年度が、注射を受けた時期の年度(4月1日に始まる)に揃うため、令和9年3月に注射を受けても、令和9年度の票にはならないのです。大阪市は「令和9年度に再度接種する必要があります」と案内しています。この記事では、厚生労働省の通知と市区町村の案内から、令和8年度が約13か月になること、注射日ごとの票の年度、そして条文と市区町村の読みの境目を整理します。

結論
  • 令和9年3月2日の改正で、施行規則11条の「四月一日から六月三十日までの間に」がなくなり、12条5項(3月2日〜31日の注射は翌年度の票)も削除されます。年に1回の義務(狂犬病予防法5条)は変わりません。
  • その結果、令和8年度の注射済票は、令和8年3月2日の注射から令和9年3月31日の注射までの395日間(約13か月)のものになります。令和7年度は365日間、令和9年度は366日間です。
  • 令和9年3月2日〜31日の注射には、令和8年度の票が交付されます(厚生労働省の通知、千葉市、東京都)。令和9年度の票は、令和9年4月1日以降の注射でないと交付されません(鹿児島市、千葉市)。
  • 毎年3月に注射を受けている犬が、令和9年3月にもう一度受けると、令和8年度の票が2回になります。大阪市は、令和9年3月2日〜31日の注射は令和9年度に再度接種する必要があると案内しています。4〜6月に受けている犬は、変わりません。

改正で変わるもの・変わらないもの

令和8年厚生労働省令第73号(令和8年4月1日公布、令和9年3月2日施行)は、狂犬病予防法施行規則を2か所、実質的に変えます。厚生労働省の公布通知(感発0401第1号)は、改正の内容を次のように書いています。

  • 11条1項:毎年1回受けさせなければならない予防注射を、4月1日から6月30日までの間に受けさせなければならないとしていた規定を廃止し、通年での接種を可能にします。改正後の1項は、生後91日以上の犬の所有者は、法5条1項の規定により、狂犬病の予防注射を受けさせなければならない、という文だけです。
  • 12条5項:毎年3月2日から3月31日までの間に注射を行った場合に翌年度の注射済票を交付する規定を廃止し、注射を実施した時期と、交付する注射済票の年度を揃えます。
  • 変わらないもの:通知は、犬の所有者は毎年1回狂犬病予防注射を受けさせなければならないので、年1回の接種義務は変わらないと書いています。

通知は、市区町村に対して、時期の限定がなくなって注射の間隔が延びないよう、少なくとも毎年同時期に1回受けさせることを周知することと、4月1日から6月30日を目安にした3か月程度の予防注射強化期間を設けて、集合注射などの取り組みを続けることを求めています。つまり、4月〜6月は、法令上の期間ではなくなりますが、今後も「目安」として残ります。

注射済票の年度の長さ

鹿児島市の案内は、注射年度の切り替わりを次のように説明しています(この記事の日数は、その日付から計算しました)。

年度注射を受けた日の範囲日数
令和7年度2025年3月2日〜2026年3月1日365日間
令和8年度(移行期間)2026年3月2日〜2027年3月31日395日間
令和9年度2027年4月1日〜2028年3月31日366日間

令和7年度(令和7年3月2日〜令和8年3月1日)までは、3月2日が年度の最初の日でした(3月2日〜31日の注射は翌年度の票なので)。令和9年度からは、4月1日が最初の日です。その切り替えのために、令和8年度だけが、令和8年3月2日から令和9年3月31日までの約13か月になります。

毎年3月に注射を受けている犬の場合

3月中旬に注射を受けている犬の注射日ごとの票の年度は、次のとおりです(このツールの計算。条文は、令和9年3月1日までは旧規則、3月2日からは新規則)。

注射を受けた日注射済票の年度備考
2025年3月15日令和7年度現行の規則: 3月2日〜31日の注射は、翌年度の票
2026年3月15日令和8年度同じ(令和8年度の票。令和8年度は令和9年3月31日まで)
2027年3月15日令和8年度令和9年3月2日からの規則: 注射した時期の年度の票。令和8年度のまま
2027年4月5日令和9年度令和9年度の票(令和9年4月1日以降の注射)
2028年3月15日令和9年度令和9年度の票(令和10年度の票は令和10年4月1日以降)
2028年4月5日令和10年度令和10年度の票

2026年3月15日に受けた犬が、2027年3月15日にも受けると、どちらも令和8年度の票です。鹿児島市は、毎年3月に注射を受けている犬の飼い主に特に注意を求め、令和9年3月2日から3月31日の間に接種しても令和9年度の注射済票は交付できないと書いています。大阪市は、その場合は令和9年度に再度接種する必要があると案内しています。4月〜6月に注射を受けている犬は、2026年5月20日(令和8年度)、2027年5月20日(令和9年度)と、これまでどおり年度が1つずつ進みます。

条文と、市区町村の案内の境目

  • 条文が決めていること:改正後の規則11条1項は、法5条1項の「毎年一回」のとおり注射を受けさせるとだけ書き、いつまでに受けるかの日付は書いていません。注射済票の年度を注射の時期に揃えることは、改正前の12条5項を削除することで実現されます(公布通知)。
  • 「毎年」を年度で数えること:注射済票の年度ごとに1回、という読みは、市区町村の案内(大阪市・鹿児島市)です。厚生労働省の通知は「少なくとも毎年同時期に1回」と書いていますが、「毎年」が暦年か年度かを、日付で定めた条文や通知は、読んだ範囲では確認できませんでした。
  • 市区町村ごとの運用:大阪市は、これまで3月2日以降をめどに郵送していた予防注射の案内を、今後は4月1日以降をめどに郵送するとしています。集合注射の日程や、注射済票を交付する窓口は、市区町村で違います。日野市のように、令和8年3月2日以降の注射は令和8年度の票という案内もあります。
  • 令和8年度の期間:令和8年度の注射は、これまでどおり令和8年4月1日〜6月30日です(大阪市)。この期間に受けられなかった場合の扱いは、犬の所在地の市区町村に確認してください。

自分の犬の登録や最初の注射の期限は、犬の登録・狂犬病予防注射・マイクロチップ登録の期限の計算で、注射を受けた日ごとの票の年度も調べられます。引っ越して犬の所在地が変わったときの30日は、引っ越しの手続き期限の計算で計算できます。

この記事で確認していないこと

  • 令和9年度以降の「毎年1回」が、注射済票の年度ごとなのか、前回の注射から1年以内なのかを定める、厚生労働省の追加の通知やQ&A。読んだ通知と市区町村の案内からは、年度ごとと読めます。
  • 令和8年度の期間(4月1日〜6月30日)に注射を受けさせられなかった犬の扱い、猶予(獣医師の診断書など)の手続き。市区町村ごとに違います。
  • この記事で挙げた5つの市・都の案内以外の、市区町村ごとの運用(郵送の時期、集合注射の日程、注射済票の交付方法、手数料)。
  • 省令の本文は、e-Govの令和9年3月2日施行の版(未施行)と、厚生労働省の公布通知で確認しました(2026年10月13日)。施行までに、通知や運用が変わることがあります。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。