年金を受けている家族が亡くなったら、年金の死亡届は10日以内?14日以内? 戸籍の死亡届を7日以内に出していれば要らないことがある

年金の死亡届の「厚生年金は10日、国民年金は14日」は、10日が厚生年金保険法98条4項の本文、14日が国民年金法施行規則(省令)に由来します。さらに、死亡の日から7日以内に戸籍の死亡届を出し、日本年金機構が本人確認情報を受けられる方は、年金の死亡届が要りません。2つの条文の違い、日付の例、届出が要らなくても必要な未支給年金の請求、窓口が違うケースを、条文と日本年金機構の案内で整理します。

公開日 2026年10月14日

年金を受けていた家族が亡くなったとき、「年金の死亡届は10日以内」「国民年金は14日以内」と案内されます。日本年金機構のQ&Aも同じ日数を書いていますが、同じ機構の「年金を受けている方が亡くなったとき」のページは、日数を書かず「すみやかに」としています。この記事では、10日と14日がどの条文から来るのか、なぜ分かれているのか、そして戸籍の死亡届を7日以内に出していれば年金の死亡届が要らないことがあるという、条文のただし書を整理します。

結論
  • 厚生年金は、法律の本文(厚生年金保険法98条4項)が「10日以内」と書いています。国民年金は、法律(国民年金法105条4項)には日数がなく、厚生労働省令(施行規則4条・24条)が「14日以内」と書いています。
  • 届出の義務があるのは、戸籍法の死亡届の届出義務者です。老齢厚生年金と老齢基礎年金の両方を受けていたときは、どちらか一方の届出が行われれば、もう一方の届出もあったものとみなされます(施行規則)。
  • ただし書があります。死亡の日から7日以内に戸籍法の死亡届を出した場合で、日本年金機構が住民基本台帳ネットワークから本人確認情報を受けられる方については、年金の死亡届は要りません。日本年金機構は、これを「マイナンバーが収録されている方は原則不要」と案内しています。
  • 届出が要らなくても、未支給年金を受け取るときの請求は別に必要です。届出が遅れて、亡くなった日の翌日以後に年金を受け取ったときは、その分を後日返します。

10日と14日は、別々の条文から来る

厚生年金保険法98条4項は、「受給権者が死亡したときは、戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない」と定めています。日数が、法律の本文に書かれています。老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金の受給権者それぞれについて、施行規則(41条・57条・74条)が届書の様式と添付書類を定めていますが、日数は定めていません。

国民年金法105条4項は、被保険者または受給権者が死亡したときの届出を「厚生労働省令の定めるところにより」としていて、日数は法律にありません。施行規則は、老齢基礎年金の受給権者の死亡の届出(24条1項)と、被保険者の死亡の届出(4条1項・2項。第1号被保険者は市町村長、第3号被保険者は日本年金機構)を、どちらも「当該事実があつた日から十四日以内」と定めています。国民年金の「14日」は、法律ではなく省令の数字です。

日本年金機構のQ&Aの「10日(国民年金は14日)以内」は、この2つを並べたものです。両方の年金を受けていた方(たとえば老齢基礎年金と老齢厚生年金)は、どちらか一方の死亡届が行われたときは、もう一方の届出も行われたものとみなされます(国民年金法施行規則24条3項、厚生年金保険法施行規則41条3項)ので、短いほうの10日を目安にします。

例:2026年10月12日に亡くなったとき

日数の数え方(起算)は、条文に「事実があつた日から」「十日以内に」とあるだけで、死亡の日を1日目に数えるのか、翌日から数えるのかを述べた資料は確認できていません。そこで、2通りを並べます。早いほうを目安にしてください。

届出死亡の日を1日目に数える翌日から数える(民法140条)
戸籍の死亡届の7日(年金の届出が要らなくなる条件)2026年10月18日2026年10月19日
年金の死亡届 10日(厚生年金)2026年10月21日2026年10月22日
年金の死亡届 14日(国民年金)2026年10月25日2026年10月26日

戸籍の死亡届の7日の数え方は、戸籍法43条1項(届出期間は届出事件発生の日から起算する)にもとづく数え方と、民法140条の数え方の差で、表のとおり1日ずれます。日付の計算は、相続の手続き期限の計算と亡くなったあとの年金・健康保険の手続き期限の計算で、自分の日付で確かめられます。

ただし書: 戸籍の死亡届を7日以内に出していれば、年金の死亡届は要らない

厚生年金保険法98条4項と国民年金法105条4項には、同じ形のただし書があります。厚生労働省令で定める受給権者の死亡について、戸籍法の死亡の届出をした場合(省令で定める場合に限る)は、年金の死亡届は要らない、という内容です。省令(厚生年金保険法施行規則41条5項・6項、国民年金法施行規則4条3項・4項・24条6項・7項)は、次の2つの条件を定めています。

  • 日本年金機構が、住民基本台帳法30条の9により、その方の本人確認情報の提供を受けることができること。
  • 死亡の日から7日以内に、その方について戸籍法の死亡の届出をしたこと。

日本年金機構のQ&Aは、「日本年金機構にマイナンバーが収録されている方につきましては、原則不要です。ただし、未支給年金の届出などは必要です」と案内しています。条文の「本人確認情報の提供を受けることができる」と、機構の「マイナンバーが収録されている」が同じ範囲かどうかは、この記事では確認できていません。年金事務所に確かめてください。死亡届が必要な場合の期限として、機構のQ&Aは「10日(国民年金は14日)以内」と書いています。

戸籍の死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡は3か月以内)に出すものです(戸籍法86条1項)。普通に出していれば、年金のただし書の7日の条件も満たすことが多いはずですが、死亡の日から数えた7日なので、死亡の事実を知るのが遅れたときは、届出が7日を過ぎても戸籍法の義務の範囲内です。その場合は、ただし書の条件を満たさないため、年金の死亡届が必要になるはずです(この点を述べた案内は確認できていません)。

届出が要らなくても、別に必要なもの

  • 未支給年金の請求:亡くなった方と生計を同じくしていた、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・それ以外の三親等内の親族が、この順に請求できます。死亡の届出と未支給年金の請求は、1枚の「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」で同時にできます(日本年金機構)。請求の時効は、受給権者の年金の支払日の翌月の初日から5年です(日本年金機構「年金の時効」)。
  • 遺族年金・死亡一時金:亡くなった方の要件によって、受けられる場合があります。時効は、遺族年金が死亡日の翌日から5年、死亡一時金が死亡日の翌日から2年です(同上)。

届出が遅れると

日本年金機構は、提出が遅れると年金を多く受け取りすぎることになり、後でお返しいただく場合があること、届出が遅れて、亡くなった日の翌日以後に年金を受け取ったときは、その分を後日返すことを案内しています。亡くなった方の口座を解約していないと、未支給年金の請求をした場合でも入金される場合がある、とも書いています。

窓口と制度が違うケース

  • 障害基礎年金・遺族基礎年金だけを受けていた方が亡くなったときの届出は、市区町村の窓口です(日本年金機構のQ&A)。
  • 被保険者期間が地方公務員共済組合員期間のみの老齢基礎年金など、地方公務員共済組合から基礎年金の代行払いを受けている方は、提出先が地方公務員共済組合です(日本年金機構)。
  • 厚生年金保険法98条5項は、第2号〜第4号厚生年金被保険者(公務員・私学の教職員など)とその期間に基づく給付の受給権者には、98条1項〜4項を適用しないと定めています。これらの方は、それぞれの共済の法令で別に届出が定められています(この記事では読んでいません)。
  • JR・JT・NTT・農林共済の共済年金を受けていたときの未支給年金は、法定相続人が請求できます(日本年金機構)。

この記事で確認していないこと

  • 日本年金機構の「年金を受けている方が亡くなったとき」のページ(2026年4月1日更新)が日数を書かなくなった理由。Q&A(2025年11月4日更新)は10日・14日のままで、条文(e-Govの2026年10月14日時点の現行の本文。未施行の改正の版でも98条・105条は同じ)も変わっていません。
  • 死亡の日から数える7日と、10日・14日の、起算の数え方。休日にあたるときの扱い。
  • 共済組合・私学共済・旧三共済の年金の届出の期限。国外にいる受給権者の届出。
  • 個別の事情での判断は、年金事務所・ねんきんダイヤルに確認してください。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。