相続の手続き期限の計算

亡くなった日から、死亡届(7日)、相続放棄(3か月)、準確定申告(4か月)、相続税の申告(10か月)、遺留分の請求(1年)、相続登記(3年)などの期限の日付を、条文どおりに計算。休日の扱いと、初日を数えるか数えないかの違いも示します。

亡くなってから、あとで知った事実があるとき・遺産分割が済んだとき(任意)

空欄の日付は、亡くなった日(遺留分と相続登記は「相続の開始を知った日」)として計算します。

亡くなった日を入力すると、死亡届・相続放棄・準確定申告・相続税・遺留分・相続登記などの期限が、早い順にここに表示されます。

期限の一覧

手続き数え始める日期間根拠
死亡届死亡の事実を知った日(その日を1日目に数える)7日(国外は3か月)戸籍法86条1項・43条
相続放棄・限定承認自己のために相続の開始があったことを知った日3か月民法915条1項
準確定申告相続の開始があったことを知った日の翌日4か月を経過した日の前日まで所得税法125条1項
相続税の申告・納付相続の開始があったことを知った日の翌日10か月以内相続税法27条1項
遺留分侵害額の請求相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時 / 相続開始の時1年 / 10年民法1048条
相続登記相続で不動産を取得したことを知った日(令和6年4月1日より前なら令和9年3月31日まで)3年以内不動産登記法76条の2第1項
相続財産を売るときの取得費加算相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで租税特別措置法39条1項
未分割の財産の分割(配偶者の税額軽減)相続税の申告期限3年以内相続税法19条の2第2項

起算するのは、亡くなった日そのものではなく、多くの手続きで「知った日」です。国税庁も、相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)」の翌日から10か月以内と説明しています。どの時点で「知った」と言えるかが争いになる場合の判断は、このツールではできません。

計算例

国税庁の例は、1月6日に死亡した場合、その年の11月6日が相続税の申告期限、というものです。このツールで2026年1月6日(火)を入力すると、相続税の申告・納付は2026年11月6日(金)になり、国税庁の例と同じ日付になります。

取得費加算の特例は、国税庁が「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」に譲渡することを要件と説明しています。申告期限は相続開始の10か月後なので、相続開始からおよそ3年10か月後になります(この記事の計算)。2026年4月10日(金)に亡くなった場合、相続税の申告期限は2027年2月10日(水)、売却の期限は2030年2月10日(日)です。

法務省は、相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)より前に相続で不動産を取得したと知っていた人は、令和9年3月31日までに登記する必要があると説明しています。施行後に知った場合は、知った日から3年以内です。たとえば2024年5月10日(金)に知った場合、民法140条の原則(知った日を数えない)では2027年5月10日(月)、知った日を1日目に数えると2027年5月9日(日)が最終日です。

数え方の違いと、休日の扱い

  • 死亡届は、戸籍法43条が「届出期間は、届出事件発生の日からこれを起算する」と定めているため、知った日を1日目に数えます。大阪市は「知った日を含め7日以内」、京都市は国外の3か月を「死亡日を含む」と案内しています。
  • 国税(準確定申告・相続税)は、条文が「知った日の翌日から」と書いているので、知った日は数えません。4か月・10か月は、暦に従い、最後の月の応当日の前日に満了します(国税通則法10条1項)。準確定申告は、条文に「四月を経過した日の前日」と書かれています。
  • 相続放棄・遺留分・相続登記は、民法の期間の原則(140条)で数えると、知った日の翌日から数え、応当日に満了します。このツールは、知った日を1日目に数える数え方(1日早い)も出し、早いほうを基準にしてください、としています。どちらで数えるべきかを述べた資料は確認できていません。
  • 期限が休日にあたるとき、国税の申告・納付は翌日までです(国税通則法10条2項)。休日は、日曜日・国民の祝日のほか、施行令2条2項の土曜日と12月29日〜31日、行政機関の休日に関する法律1条の1月1日〜3日です。たとえば2026年8月29日(土)に知った場合、準確定申告の4か月後は2026年12月29日(火)で、2027年1月4日(月)が期限になります。
  • 死亡届は、7日目が役所の閉庁日にあたるときは翌開庁日までと、大阪市・千葉市・京都市が案内しています。民法・不動産登記法の期間については、休日で延びるという記載を確認できていないので、ツールは延ばさず、休日にあたるときは注意を出します(民法142条は、その日に取引をしない慣習がある場合に限って翌日に満了するとしています)。

期限に間に合いそうにないとき

  • 相続放棄・限定承認の3か月は、相続財産の状況を調べてもなお決められないとき、家庭裁判所に申し立てて伸ばしてもらえることがあります(民法915条1項ただし書。裁判所の案内では、申立ても3か月以内にする必要があります)。「知った時」の起算点については、財産がまったくないと信じていた相続人について最高裁が別の起算点を認めた判決があります。ガイド「相続放棄の3か月はいつから?」で、判決の事案と要件を整理しています。
  • 相続登記は、遺産分割がまとまらないとき、「相続人申告登記」で申請義務を果たせます(法務省)。ただし、遺産分割が成立したあとの追加の登記義務は、相続人申告登記では果たせません。
  • 相続税は、申告期限までに申告しなかったり、実際より少なく申告したりすると、加算税や延滞税がかかる場合があります(国税庁)。遺産の額が基礎控除額の範囲内なら、申告も納税も要りません。

相続税が実際にかかるかどうか、いくらになるかは、お金計算の「相続税の計算シミュレーション」で試算できます。

このツールで計算しないこと・確認できていないこと

  • 期限の伸長・延長(民法915条ただし書の申立て、災害などによる国税通則法11条の延長)、納税管理人を置かずに出国する場合の相続税の期限(相続税法27条1項かっこ書)、承認を受けた場合の分割期間の延長(相続税法19条の2第2項かっこ書)。
  • 相続人ごとの「知った日」の違い、胎児・認知・失踪宣告など起算点が問題になる場合、「知った」と言えるかどうかの判断(裁判例は読んでいません)。
  • 年金・健康保険・介護保険・住民票・世帯主の変更、生命保険金の請求、銀行口座など、ほかの法令や契約による手続きの期限(年金の死亡届・未支給年金・葬祭費などの期限は亡くなったあとの年金・健康保険の手続き期限の計算で計算できます)。相続税の申告が必要かどうか、税額の計算、小規模宅地等の特例の期限。
  • 遺留分の期限だけを計算し、遺留分の割合や額は計算しません(法定相続分・遺留分の計算で調べられます)。2019年7月1日より前に始まった相続(改正前の制度)も計算しません。条文は、e-Govの現行の本文を2026年10月10日に確認し、施行前の改正(未施行の版)の同じ条文と突き合わせました。民法140〜143・882・915・1048条、戸籍法43・86条、相続税法19条の2・27条、国税通則法10条、同施行令2条、租税特別措置法39条、不動産登記法76条の2、行政機関の休日に関する法律1条は、どの版でも同じです。所得税法125条は、未施行の版で4項(申告書の提出に準用する120条の項番号)だけが変わり、期限を定める1項は同じです。
  • 祝日は、内閣府のデータ(2027年まで)と、それ以降は現行の国民の祝日に関する法律から計算した見込みです。春分の日・秋分の日は暫定です。死亡届の閉庁日は、市区町村によって異なる場合があります。
  • 期間の数え方については、ガイド「初日算入と初日不算入の違い」で説明しています。時効の完成日は時効の完成日の計算で、日数だけを数えたいときは日数計算が使えます。

出典

計算結果は一般的な目安であり、法律・税務その他の専門的助言ではありません。航空券や契約書、期限の管理など重要な場面では、公式の情報や専門家の説明でもご確認ください。