時効の完成日の計算

賃金(残業代)3年、退職金5年、有給休暇2年、貸金などの債権5年・10年、不法行為3年・20年。支払期日や知った日から、時効が完成する最終日と、今日請求できる最も古い支払期日を計算します。

労働基準法の賃金。毎月の給料、割増賃金(残業代)、休業手当、年次有給休暇を取った日の賃金など。(労働基準法115条・附則143条3項)

賃金の支払期日を入力すると、時効の最終日がここに表示されます。

期限ぎりぎりのときは

このツールの結果は、日付から数えた計算上の最終日です。時効が実際に完成しているか、途中で時効の完成猶予や更新があったかは、ツールには判断できません。期限が近いときは、計算を待たずに、記録の残る方法で請求し、弁護士、法テラス、労働基準監督署(賃金・退職金・有給休暇の場合)などに早めに相談してください。

計算例

厚生労働省のリーフレットには、2020年4月1日(水)に発生した賃金請求権の例があります。改正前の2年なら2022年3月31日、2020年4月以降の期間(当分の間は3年)なら2023年3月31日(金)に時効が完成するという図です。この日付は、支払期日の当日を1日目として数えたものです。上のツールで「賃金」と支払期日の2020年4月1日(水)を入れると、最終日に2023年3月31日(金)が表示されます。

民法140条の原則どおり、起算する日を数えない(翌日から数える)と、同じ賃金の最終日は2023年4月1日(土)で、1日後になります。どちらで数えるべきかを述べた資料は確認できていないため、ツールは両方を表示し、早いほうを基準にするよう案内しています。

賃金は、支払期日ごとに別々に時効が進みます。2026年9月26日(土)に請求する場合、時効にかかっていない最も古い支払期日は、起算する日を数えない場合で2023年9月26日(火)、数える場合で2023年9月27日(水)です。毎月25日払いの会社なら、遡れる最初の給料日は2023年10月25日(水)です。

権利ごとの時効期間

権利時効期間根拠
賃金(残業代・未払いの給料など。退職手当を除く)賃金の支払期日から3年2020年4月1日より前に支払期日が来た賃金は2年労働基準法115条・附則143条3項
退職手当(退職金)退職手当の支払期日から5年労働基準法115条・附則143条3項
年次有給休暇を取る権利年次有給休暇が付与された日から2年労働基準法115条
貸したお金・代金など、契約にもとづく債権権利を行使できると知った日から5年、または権利を行使できるようになった日(弁済期など)から10年民法166条1項
生命・身体の侵害の損害賠償(契約上の責任)権利を行使できると知った日から5年、または権利を行使できるようになった日から20年民法166条1項・167条
不法行為の損害賠償損害と加害者を知った日から3年、または不法行為があった日から20年民法724条
生命・身体を害する不法行為の損害賠償損害と加害者を知った日から5年、または不法行為があった日から20年民法724条・724条の2

労働基準法上の賃金の時効は、法律の本則では5年ですが、附則で「当分の間は3年」とされています。退職手当(5年)や年次有給休暇を取る権利(2年)などは、改正の前後で変わっていません。年次有給休暇を取った日の賃金の請求権は賃金の時効(3年)で、有給休暇を取る権利そのもの(2年)とは別です(厚生労働省のQ&A)。賃金の時効については、ガイド「未払い残業代はいつまで請求できる?」で詳しく説明しています。

いつから数えるのか

  • 賃金は、賃金支払期日から数えます。厚生労働省の通達は、従来の解釈どおり、客観的な起算点である賃金支払日を維持し、労働基準法に明記したと説明しています(基発0401第27号)。残業代は、その残業を含む賃金計算期間の賃金の支払期日から数えると考えられます(厚生労働省のQ&Aの例では、賃金計算期間が当月1日〜末日で、支払期日が翌月10日と定められている場合、その支払期日は翌月10日です)。
  • 民法の債権は、「権利を行使することができることを知った時」から5年、「権利を行使することができる時」から10年のどちらか早いほうで、時効になります(166条1項)。貸金なら、返済期限の日が「行使できる時」です。
  • 不法行為の損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年です(724条)。生命・身体を害する場合は、3年が5年になります(724条の2)。生命・身体の侵害の損害賠償を契約上の責任として求める場合は、行使できる時から10年ではなく20年です(167条)。

時効が延びたり、やり直しになったりする場合

民法は、次のような事情があると、時効の完成が猶予されたり、時効が更新(新たに進行)されたりすると定めています。このツールは、これらを計算に入れません。

  • 催告(請求書の送付など)があると、その時から6か月を経過するまで、時効は完成しません。催告の間にした再度の催告には、この効力はありません(150条)。
  • 裁判上の請求、支払督促、調停などがあると、その事由が終了するまで完成しません。確定判決などで権利が確定すると、そこから新たに時効が進み始めます(147条)。
  • 権利についての協議を行う旨の合意を書面でしたときは、合意から1年(または定めた期間)などのうち早い時までは、完成しません(151条)。
  • 相手が権利を承認すると、その時から新たに時効が進み始めます(152条)。

時効の期間が過ぎても、時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができないと定められています(145条)。

付加金や記録の保存期間との違い

  • 付加金(労働基準法114条。解雇予告手当、休業手当、割増賃金、年次有給休暇の賃金の未払いについて、裁判所が未払金と同額の支払を命じられる制度)を請求できる期間は、違反のあった時から、当分の間3年です。「違反があった時」は、就業規則などで定められた支払期日に支払がされなかった時を意味します(厚生労働省のQ&A)。これは賃金そのものの時効とは別の期間で、このツールでは計算しません。
  • 賃金台帳やタイムカードなどの記録の保存期間も、当分の間3年で、起算日は、その記録に係る賃金の支払期日が記録の完結の日より遅いときは、その支払期日です(労働基準法109条・附則143条、施行規則56条2項)。証拠になる記録が、時効の期間内は保存される仕組みです。

このツールで計算しないこと・確認できていないこと

  • 時効の完成猶予・更新、援用、時効の利益の放棄、そもそも請求権があるかどうか。
  • 2020年4月1日より前に契約した債権や、その日より前の不法行為(改正前の民法が適用される場合があります。法務省の資料)。民法の種類は、2020年4月1日より前の日付だと計算しません。
  • 労働基準法の災害補償や帰郷旅費などの2年の請求権(2027年4月1日施行の改正で、災害補償の一部は5年になります)、商法・会社法・手形・小切手・保険・不動産などの特別な時効。
  • 起算する日を数えるか数えないかで最終日が1日ずれることについて、どちらが正しいかを述べた資料は確認できていません。ツールは両方を出し、早いほうを基準にしています。
  • 労働基準法の条文は、e-Govの現行の本文(2026年9月26日に確認)です。2027年4月1日に施行される予定の改正で115条の書き方が変わりますが、賃金の請求権(本則5年、附則で当分の間3年)、退職手当の5年、その他の請求権の2年は変わりません。民法の140〜143条、145条、147〜152条、166条、167条、724条、724条の2は、施行が予定されている改正(2029年6月23日まで)でも内容は変わりません(151条4項の「電磁的記録」の定義の書き方が変わるだけです)。

期間の数え方(初日を数えるかどうか)については、ガイド「初日算入と初日不算入の違い」で説明しています。日数だけを数えたいときは日数計算も使えます。

出典

計算結果は一般的な目安であり、法律・税務その他の専門的助言ではありません。航空券や契約書、期限の管理など重要な場面では、公式の情報や専門家の説明でもご確認ください。