平均賃金の計算

直近3か月の賃金から平均賃金(1日分)を計算。賃金締切日から算定期間を数え、最低保障額・除外期間・雇入れ後3か月未満に対応し、解雇予告手当・休業手当・減給の制裁の上限も計算します。

算定事由の発生した日を正しく入力してください。

平均賃金とは、何に使うのか

平均賃金は、労働基準法12条が定める「1日あたりの賃金」の基準額です。直近3か月に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(働いた日数ではなく暦日数)で割って求めます。次のような手当や制限額の計算に使われます(千葉・宮城・神奈川労働局)。

使う場面労働基準法平均賃金の使い方算定事由の発生した日
解雇予告手当20条30日前に予告しないとき、30日分以上。1日分を支払うごとに、予告の日数を1日短縮できる解雇を通告した日
休業手当26条使用者の責めに帰すべき休業の1日につき、60%以上休業日(2日以上のときは最初の日)
年次有給休暇の賃金39条平均賃金で支払うと定めている場合の1日分年次有給休暇を与えた日(2日以上のときは最初の日)
減給の制裁91条1回の額は平均賃金の1日分の半額まで。総額は一賃金支払期の賃金の総額の10分の1まで制裁の意思表示が相手に届いた日
災害補償など76〜82条ほか労災保険の給付基礎日額も、原則として平均賃金に相当する額とされる(神奈川労働局)。このツールは、労災の給付額そのものは計算しません事故が起きた日、または診断で疾病が確定した日

計算例(千葉労働局の例)

時給制で、賃金締切日が毎月15日の労働者に、2026年3月20日(金)に解雇を通告し、2026年3月31日(火)付けで解雇する場合です。算定事由の発生した日(2026年3月20日(金))の直前の賃金締切日は3月15日なので、算定期間は2025年12月16日(火)から2026年3月15日(日)までの90日です。この期間に支払われた賃金の総額は896,320円、実際に働いた日数は58日です。

  • 原則の額:896,320円 ÷ 90日 = 9,959円11銭(銭未満切り捨て)
  • 最低保障額:896,320円 ÷ 58日 × 60% = 9,272円27銭(銭未満切り捨て)
  • 原則の額のほうが高いので、平均賃金は9,959円11銭です。
  • 予告した日(2026年3月20日(金))の翌日から解雇の日までは11日で、30日に19日足りません。解雇予告手当は、9,959円11銭 × 19日 = 189,223円09銭で、円未満を四捨五入して189,223円です。

上のツールに、この日付と金額を入れると、同じ結果になります。宮城労働局・神奈川労働局・長野労働局の資料に載っている他の計算例(休業手当、日給と月額の通勤手当を併用する場合、雇入れ後の期間が短い場合など)も、このツールの計算と一致することを確かめてあります。

算定期間の数え方

  • 「3か月」は暦のとおりに数えます(民法143条)。算定事由の発生した日は、その日の賃金がすべては支払われていないことが多いため、含めません。その前日から3か月をさかのぼります(千葉・宮城・神奈川労働局)。
  • 賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日(その日を含む)から3か月をさかのぼります。算定事由の発生した日が賃金締切日そのものにあたるときは、その前の賃金締切日を使います(神奈川・長野労働局)。
  • 雇い入れられてから3か月に満たないときは、雇入れの日からの期間で計算します(12条6項)。このときも賃金締切日から数えますが、雇入れの日から直前の賃金締切日までが「一賃金締切期間」に満たなくなる場合は、算定事由の発生した日から数えます(千葉労働局)。
  • 雇入れの日に算定事由が発生した場合は、平均賃金は都道府県労働局長が定めます(施行規則4条)。このツールでは計算しません。

除外する期間

算定期間の中に次の期間があるときは、その日数と、その期間中の賃金を、総日数と賃金の総額から引きます(12条3項)。平均賃金が不当に低くなることを防ぐための決まりです。

  • 業務上のケガや病気の療養のために休業した期間
  • 産前産後の女性が、労働基準法65条によって休業した期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
  • 育児休業・介護休業をした期間
  • 試みの使用期間(試用期間)。ただし、試みの使用期間中に算定事由が発生したときは、その期間の日数と賃金を算入します(施行規則3条)

除外する期間が算定期間の3か月以上にわたるときの平均賃金は、都道府県労働局長が定めます(施行規則4条)。全部の日数が除外になると、ツールは計算できないと表示します。

賃金の総額に入れるもの、入れないもの

  • 入れるもの:算定期間中に支払われる賃金のすべて。通勤手当、精皆勤手当、時間外手当、年次有給休暇の賃金などを含み、税金や社会保険料を引く前の金額です。支払いが遅れている賃金も含めます。6か月分の通勤定期券代などは、1か月ごとに支払われたものとして数えます(神奈川労働局)。
  • 入れないもの:臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、見舞金、退職金など)、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与など)、労働協約に定めのない現物給与(12条4項、千葉・神奈川労働局)。賞与でも、3か月ごとに支払われるものは入れます(神奈川労働局)。

最低保障額と端数の扱い

  • 賃金が日給・時給・出来高払(歩合)で決まっている労働者は、労働日数が少ないと原則の額が低くなりすぎるため、「賃金の総額 ÷ 実際に働いた日数 × 60%」(最低保障額)を下回ってはならないとされています(12条1項1号)。原則の額と比べて、高いほうが平均賃金です。
  • 賃金の一部が月・週などで定められている場合(日給に月額の通勤手当がつく場合など)は、「その部分の総額 ÷ 総日数」と「日給などの部分 ÷ 働いた日数 × 60%」を足した額が最低保障額です(12条1項2号。宮城・神奈川労働局の計算例)。月給制の労働者は、時間外手当があっても、比べる相手の最低保障額はありません(宮城労働局の解雇予告手当の例)。
  • 1日分の平均賃金は、銭未満(小数点以下第3位以下)を切り捨てることができます。手当を支払うときは、円未満を四捨五入します(50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げ)。ただし、特約がある場合はこの限りではありません(千葉・宮城労働局)。このツールは、この扱いで計算します。

このツールで計算しないこと・確認できていないこと

  • 日々雇い入れられる労働者の平均賃金(12条7項。厚生労働大臣が定める額で、神奈川労働局は賃金総額 ÷ 総労働日数 × 73% などと説明しています)。
  • 除外する期間が算定期間の全部にわたる場合、雇入れの日に算定事由が発生した場合(施行規則4条)、その他の算定できない場合(12条8項)。
  • 解雇予告そのもののルール(予告が不要な場合、労働基準監督署長の認定、解雇制限など)と、減給の制裁の総額の上限。ここで計算するのは、平均賃金と、それを使った金額だけです。予告の日数の数え方は、ガイド「解雇予告は何日前?」で説明しています。
  • 賃金締切日がなく、算定事由の発生した日の3か月前の同じ日が暦にない場合(5月31日の3か月前は2月31日)に、どの日から数えるかを定めた資料は確認できていません。ツールは、その月の末日(2月28日または29日)から数え、そう表示します。
  • 「一賃金締切期間に満たない」かどうかは、千葉労働局の資料の文言(1か月を下回らない期間)にそろえ、直前の賃金締切期間の日数と比べて判断しています。この比べ方を示した資料は確認できていません。
  • 個別の事情(賃金の総額に入るかどうかの判断、除外する期間にあたるかどうか)はツールでは判断できません。迷ったときは、事業場を管轄する労働基準監督署か、総合労働相談コーナーに相談してください。

このツールについて

  • 労働基準法の条文は、e-Govの現行の本文(2026年7月17日施行分)で確認しました。2027年4月1日と2028年12月23日に施行される予定の改正も、12条・20条・26条・91条の本文は変わりません(2026年9月26日確認)。
  • 計算は整数の円と銭だけで行い、上に挙げた労働局の計算例をそのままテストにしています。
  • 入力した日付と金額は、ブラウザの中だけで計算され、外部に送信・保存されません。

出典

計算結果は一般的な目安であり、法律・税務その他の専門的助言ではありません。航空券や契約書、期限の管理など重要な場面では、公式の情報や専門家の説明でもご確認ください。