解雇予告は何日前? 30日の数え方と、解雇予告手当の日数の求め方

解雇は30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払います。予告した日を数えず翌日から暦日で30日を数える方法と、予告が足りない日数分の手当の求め方、予告が要らない場合を、労働基準法20条と厚生労働省・労働局の資料にそって整理します。

公開日 2026年9月26日

「解雇は30日前に予告しなければならない」と聞いても、その30日をいつから数えるのか、休日は入るのか、予告が足りないときは何日分の手当を払うのかは、意外と迷います。この記事では、労働基準法20条と、厚生労働省・労働局の資料にそって、予告の日数の数え方と、解雇予告手当の日数の求め方を整理します。

ここで扱うのは、法令と行政の資料が示している内容です。解雇が有効かどうか、個別の事情で予告が必要かどうかは、この記事では判断できません。迷ったときは、事業場を管轄する労働基準監督署、または総合労働相談コーナーに相談してください。

結論
  • 使用者は、少なくとも30日前に解雇を予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。1日分の平均賃金を支払うごとに、予告の日数を1日短縮できます(労働基準法20条1項・2項)。
  • 予告の日数は、予告した日を数えず、その翌日から暦日で数えます。休日も入ります(民法140条・141条、厚生労働省のQ&A)。9月30日付けの解雇なら、遅くとも8月31日に予告します。
  • 手当の日数は「30日 − 予告の日数」です。11月10日に11月30日付けで予告すれば、予告の日数は20日、手当は10日分です。
  • 手当の1日分の額は平均賃金です。予告した日を「算定事由の発生した日」として、その直前の3か月の賃金から計算します。
  • 予告も手当も要らない場合があります。20条1項ただし書の場合は労働基準監督署長の認定が必要で、自分で「要らない」と決めることはできません。21条の労働者は、そもそも予告の規定の対象外です。

20条の3つの選び方

労働基準法20条1項は、使用者が労働者を解雇しようとするときは、少なくとも30日前に予告をしなければならず、予告をしないときは30日分以上の平均賃金を支払わなければならないと定めています。2項は、予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合には、その日数を短縮できるとしています。組み合わせると、次の3つになります(厚生労働省のリーフレット、栃木労働局)。

  • 30日以上前に予告する。手当は要りません。
  • 予告をせず、解雇と同時に30日分以上の平均賃金を支払う。
  • 予告と手当を併用する。予告の日数が30日に足りない分だけ、その日数分の平均賃金を支払う。

30日の数え方:予告した日は数えない

予告の期間の数え方は、労働基準法に特別な決まりがないため、民法の一般原則によります。厚生労働省の「確かめよう労働条件」Q&Aは、予告がされた日は算入せず、その翌日から数えて(民法140条)、期間の最後の日の終了をもって満了する(民法141条)と説明しています。30日は暦日で数えるので、土日や祝日も入ります。

この数え方をした厚生労働省の資料の例は、どれも同じ結果になります。9月30日付けで解雇する場合、遅くとも8月31日に予告する(Q&A)。3月31日付けで解雇する場合、遅くとも3月1日に予告する(厚生労働省のリーフレット)。11月10日に11月30日付けで解雇すると予告した場合、予告の日数は20日で、手当は10日分(東京労働局)。予告した日から解雇の日までの日数の差が、そのまま予告の日数です。

次の表は、2026年3月31日(火)付けで解雇する場合に、予告の日によって手当の日数と額がどう変わるかを、平均賃金の計算と同じ数え方で計算したものです。平均賃金は、千葉労働局の計算例の9,959円11銭で、どの行も同じとして計算しています(実際には、予告した日が変わると、平均賃金の算定期間も変わります)。

予告した日予告の日数手当の日数解雇予告手当
2026年3月1日(日)30日0日分0円
2026年3月11日(水)20日10日分99,591円
2026年3月20日(金)11日19日分189,223円
2026年3月31日(火)解雇の日に予告(予告なしの即時解雇)0日30日分298,773円

2026年3月1日(日)に予告すれば、30日前になり、手当は要りません。手当の額は、9,959円11銭 × 手当の日数で、円未満を四捨五入しています。

手当の1日分は、平均賃金

解雇予告手当の1日分の額は、労働基準法12条の平均賃金です。算定事由の発生した日は、労働者に解雇を通告した日で、その直前の3か月(賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日から3か月)に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割ります(千葉労働局)。日給・時給・出来高払の労働者は、最低保障額と比べて高いほうです。

厚生労働省のリーフレットの例は、解雇日が12月31日、賃金締切日が毎月15日、支払日が毎月末日の場合です。30日分の手当を支払う例なので、予告をしない即時解雇の場合と考えられ、算定事由の発生した日は解雇を通告した12月31日、直前の賃金締切日は12月15日です。算定期間は、2026年9月16日(水)から2026年12月15日(火)までの3つの賃金計算期間(30日・31日・30日、合計91日)で、この間の賃金の総額を91日で割った額を30日分にします。日付と金額を入れて計算したいときは、平均賃金の計算が使えます。

手当をいつ払うか

厚生労働省のQ&Aは、20条1項の即時解雇(予告をしない解雇)の場合の30日分の平均賃金は、解雇の申渡しと同時に支払うべきだとする解釈例規(昭和23年3月17日基収第464号)を紹介しています。東京労働局のリーフレット(平成21年3月)は、予告と手当を併用する場合は、遅くとも解雇の日までに支払うことが必要だとしています。

予告や手当が要らない場合

  • 天災事変などで事業の継続が不可能になった場合、または労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合は、20条1項ただし書により、予告も手当も要りません。ただし、労働基準監督署長の認定が必要です(20条3項)。「労働者の責めに帰すべき事由」の認定基準として、厚生労働省のQ&Aは、会社内での窃盗・横領・傷害、2週間以上の正当な理由のない無断欠勤などの例を挙げ、就業規則の懲戒解雇の事由に拘束されず、総合的・実質的に判断するとしています。
  • 次の労働者には、解雇予告の規定そのものが適用されません(21条)。日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用された場合は対象)、2か月以内の期間を定めて使用される者と、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(どちらも、契約で定めた期間を超えて引き続き使用された場合は対象)、試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用された場合は対象)。
  • 予告や手当の話とは別に、業務上のケガや病気で療養のために休業する期間とその後の30日間、産前産後の休業期間とその後の30日間は、解雇そのものが禁止されています(19条)。

予告の方法と、予告期間中の賃金

厚生労働省のリーフレットは、口頭での予告でも有効だが、後々のトラブルを避けるために書面での通知が望ましいとしています。東京労働局のリーフレットも、解雇する日と具体的な理由を書いた通知書を作ることが望ましいとしています。予告期間中でも、その労働者が働いた日や年次有給休暇を取得した日には、賃金を支払う必要があります(厚生労働省のリーフレット)。

解雇の予告は、解雇そのものが有効であることを前提にした手続きです。東京労働局のリーフレットは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利の濫用として無効になると説明しています。予告をしたから解雇が有効になるわけではありません。

この記事で確認できていないこと

  • 予告が「いつ」なされたことになるか(口頭のとき、書面を渡したとき、郵送のときなど)を定めた条文や通達は、この記事で読んだ範囲では見つかりませんでした。千葉労働局の計算例は、算定事由の発生した日を「労働者に解雇通告が伝わった日」としています。
  • 就業規則や労働契約で、30日より長い予告期間を定めている場合は、その定めが優先されることがあります(東京労働局のリーフレットは、労働者に有利な定めがあれば就業規則等が優先されると述べています)。個別の契約の内容はここでは判断できません。
  • 予告を出したあとの撤回や、退職の日の変更、有期労働契約の雇止め、整理解雇や懲戒解雇が有効かどうかは、この記事の対象外です。労働者の側から辞める場合の日数は、別のルール(民法627条)です。ガイド「退職を申し出てから何日で辞められる?」を見てください。
  • 東京労働局のリーフレットは平成21年3月、厚生労働省のリーフレットは平成27年3月の資料です。条文は、e-Govの本文を2026年9月26日に確認しました。2027年4月1日と2028年12月23日に施行される予定の労働基準法の改正でも、19条・20条・21条の本文は変わりません。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。