退職を申し出てから何日で辞められる? 民法627条の2週間の数え方と、就業規則の「1か月前」

期間の定めのない労働契約では、退職の申入れから2週間で雇用が終了します(民法627条)。申入れの日を数えない数え方の例、就業規則の「1か月前」との関係、期間の定めのある契約の場合、退職後の給料・金品の返還を、厚生労働省と労働局の資料にそって整理します。

公開日 2026年9月26日

「退職は何日前までに言えばよいのか」「就業規則には1か月前と書いてあるが、2週間ではだめなのか」は、よくある疑問です。この記事では、民法627条、厚生労働省と労働局の資料にそって、期間の定めのない労働契約で退職を申し出てから、いつ雇用が終わるのか、その日数の数え方、就業規則との関係、期間の定めのある契約の場合を整理します。

ここで扱うのは、法令と行政の資料が示している内容です。個別の会社や契約について、いつ辞められるか、辞めることが問題にならないかは、この記事では判断できません。困ったときは、労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどに相談してください。

結論
  • 期間の定めのない労働契約(正社員など)では、労働者はいつでも退職の申入れをすることができ、雇用は、申入れの日から2週間を経過することによって終了します。会社の同意がなければ辞められない、というものではありません(民法627条1項、大阪労働局)。
  • 2週間は、申入れをした日を数えず、翌日から数えます。10月1日に申し入れれば、雇用が終わるのは10月15日です(民法140条・141条。この記事の計算)。
  • 会社の就業規則に退職の手続や「1か月前までに申し出る」などの定めがあるときは、厚生労働省と労働局の資料は、原則としてそれに従って申し出る必要があるとしています。ただし、極端に長い期間を定めた規定は、無効とされる場合があります(大阪労働局)。
  • 期間の定めのある契約(契約社員、有期のパートなど)は、原則として契約期間の途中では辞められません。やむを得ない事由があるときは直ちに解除でき、その事由が自分の過失によるときは損害賠償の責任を負うことがあります(民法628条)。

期間の定めのない場合:2週間で終了する

民法627条1項は、当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができ、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了すると定めています。大阪労働局のよくあるご質問は、退職願を上司が受け取ってくれない場合でも、この規定により、会社の同意がなければ退職できないというものではないと説明しています。厚生労働省の資料も、正社員などのように契約期間が定められていないときは、少なくとも2週間前までに退職届を提出するなど退職の申し出をすれば、法律上はいつでも辞めることができるとしています。

なお、同じ627条の2項・3項は、期間によって報酬を定めた場合(月給制など)の解約の申入れについて定めていますが、条文は「使用者からの解約の申入れ」について書いています。労働者が辞める場合の日数は、1項の2週間です。

2週間の数え方:申入れの日は数えない

期間の数え方は、民法140条が、初日は算入しない(翌日から数える)と定め、141条が、期間はその末日の終了をもって満了すると定めています。厚生労働省の「確かめよう労働条件」Q&Aも、解雇予告の30日を、予告がされた日は算入せず、その翌日から数えるとしています。退職の申入れの2週間も、同じ考え方で数えると、次の表のようになります。

申入れの日2週間を経過して雇用が終わる日(この日の終了で満了)
2026年10月1日(木)2026年10月15日(木)
2026年10月16日(金)2026年10月30日(金)
2026年10月31日(土)2026年11月14日(土)
2026年12月20日(日)2027年1月3日(日)

逆に、辞めたい日から数えると、その日の14日前までに申し入れればよいことになります。たとえば2026年10月31日(土)に辞めたいなら、2026年10月17日(土)までです。日付の数え方は、日数計算やガイド「初日算入と初日不算入の違い」でも確かめられます。

就業規則の「1か月前」との関係

厚生労働省の資料は、就業規則などに「退職する場合は退職予定日の1か月前までに申し出ること」のように定めている会社も多いので、退職手続がどうなっているか調べることも必要だとしています。大阪労働局は、会社の就業規則に退職について規定されている場合は、原則として就業規則の規定が適用されるので確認するようにと述べたうえで、就業規則で極端に長い退職申入れ期間を定めている場合などは、労働者の退職の自由が極度に制限され、公序良俗の見地から無効とされる場合もあると説明しています。

「1か月前」の数え方も、期間の初日を数えない原則にそろえると、次の表のとおりです。民法143条により、月で定めた期間は暦に従って数え、応当日の前日に満了します。

辞めたい日2週間前の規定なら、申し出る最終日「1か月前」の規定なら、申し出る最終日
2026年10月31日(土)2026年10月17日(土)2026年9月30日(水)
2026年11月30日(月)2026年11月16日(月)2026年10月31日(土)
2026年12月31日(木)2026年12月17日(木)2026年11月30日(月)

就業規則の規定と、民法の2週間のどちらが優先されるかについて、この記事で読んだ資料は、「原則として就業規則の規定が適用される」(大阪労働局)としています。それが個別の事案でどう判断されるかは、ここでは扱いません。会社ともめそうなときは、早めに労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどに相談してください。

期間の定めのある契約の場合

契約期間が決まっている場合(3か月のアルバイト、1年の契約社員など)は、627条の2週間は使えません。大阪労働局は、原則として、使用者は契約期間の満了前には労働者を辞めさせることができない一方、労働者も契約期間中は会社を辞めることができないと説明しています。例外として、民法628条は、雇用の期間を定めたときでも、やむを得ない事由があるときは、各当事者は直ちに契約を解除でき、その事由が当事者の一方の過失によるときは、相手方に損害賠償の責任を負うと定めています。

また、労働基準法附則137条は、契約期間が1年を超える労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものなどを除く)を結んだ労働者は、契約期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ることで、いつでも退職できると定めています(暫定措置の規定で、労働基準法14条1項各号の労働者は除かれます)。

辞めるときの給料や私物の返還

労働基準法23条は、労働者の退職の場合に、権利者の請求があれば、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金など、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないと定めています。大阪労働局のよくあるご質問も、退職労働者から請求があった場合には、給料日前であっても請求後7日以内に支払わなければならないとしています。

この記事で確認できていないこと

  • 申入れが「いつ」されたことになるか(口頭のとき、退職届を渡したとき、郵送やメールのときなど)を定めた資料は、読んだ範囲では見つかりませんでした。上の表は、申入れの日が分かっているものとして数えています。
  • 退職の申入れの2週間の数え方(初日不算入)は、民法140条・141条の条文と、厚生労働省が解雇予告について示している数え方を当てはめたこの記事の計算です。退職の申入れそのものについて、日付の例を示した公的な資料は、読んだ範囲では見つかりませんでした。
  • 就業規則と民法627条のどちらが優先するか、有期契約のやむを得ない事由に当たるか、損害賠償が認められるか、年次有給休暇を退職日までに使い切れるか(残りの日数の計算は有給休暇の付与日数計算を参照)は、個別の事情による問題で、この記事の対象外です。
  • 民法627〜629条と労働基準法附則137条は、e-Govの本文を2026年9月26日に確認しました。施行が予定されている改正(民法は2029年6月23日まで、労働基準法は2028年12月23日まで)でも、これらの条文は変わりません。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。