エステ・英会話などの中途解約 上限額の計算
エステ、語学教室、学習塾などを中途解約するとき、事業者が請求できる金額の上限を計算。提供済みの対価に、2万円や契約残額の10〜20%などの低いほうを足した額まで。前払い分の返金の目安もわかります。
契約書の「役務の対価」の総額を入力すると、事業者が請求できる上限がここに表示されます。
中途解約とは、クーリング・オフとどう違うか
エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス、美容医療は、契約期間と金額が一定を超えると、特定商取引法の「特定継続的役務提供」になります。この契約は、書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができ(クーリング・オフ期限の計算)、その期間が過ぎたあとも、契約期間中ならいつでも、理由を問わず、将来に向かって解約できます。これが中途解約です(49条1項、消費者庁のQ&A)。
クーリング・オフと違って、中途解約では、すでに受けたサービスの対価と、決められた範囲の損害賠償を払います。契約書に高い違約金が書かれていても、事業者が請求できるのは、次の上限までです(49条2項)。事業者がすでにこの額を超えて受け取っているときは、超える部分を返さなければなりません(消費者庁のガイド)。
サービスごとの上限(別表第四)
| サービス | 対象になる期間 | 受け始める前の解約 | 受け始めたあとの解約(提供済みの対価に加える額) |
|---|---|---|---|
| エステティック | 1月を超えるもの | 20,000円 | 20,000円または契約残額の10%のいずれか低い額 |
| 美容医療 | 1月を超えるもの | 20,000円 | 50,000円または契約残額の20%のいずれか低い額 |
| 語学教室 | 2月を超えるもの | 15,000円 | 50,000円または契約残額の20%のいずれか低い額 |
| 家庭教師 | 2月を超えるもの | 20,000円 | 50,000円または1月分の役務の対価のいずれか低い額 |
| 学習塾 | 2月を超えるもの | 11,000円 | 20,000円または1月分の役務の対価のいずれか低い額 |
| パソコン教室 | 2月を超えるもの | 15,000円 | 50,000円または契約残額の20%のいずれか低い額 |
| 結婚相手紹介サービス | 2月を超えるもの | 30,000円 | 20,000円または契約残額の20%のいずれか低い額 |
「契約残額」は、役務の対価の総額から、提供された役務の対価に相当する額を引いた額です。対象になるのは、上の期間を超えて役務を提供し、5万円を超える金銭を支払う契約です(施行令24条)。入会金、受講料、教材費、施設利用費、関連商品の代金などを合わせた契約金の総額で、5万円を超えるかを見ます(消費者庁のQ&A)。
計算例
数字は、この記事のために決めた仮のものです。エステティックで、役務の対価の総額が30万円の契約を結び、10万円分のサービスを受けたところで解約するとします。契約残額は200,000円で、その10%は20,000円、定額も20,000円なので、低いほうの20,000円が、通常生ずる損害の額です。事業者が請求できる上限は、提供された対価100,000円に20,000円を足した120,000円です。30万円を前払いしていたなら、180,000円が返してもらえる額の目安です。
家庭教師で、役務の対価の総額が24万円、1か月分の授業料が3万円の契約を結び、6万円分の授業を受けたところで解約するなら、定額の5万円と1か月分の3万円のうち低い30,000円が損害の額で、上限は90,000円です。24万円を前払いしていたなら、150,000円が返金の目安です。
上のツールに同じ数字を入れると、同じ結果になります。「提供された役務の対価」は、消費者庁のQ&Aが「例えば契約後3か月で解約した場合には3か月分の役務の対価」と説明しているように、契約書にある1回や1か月の料金と、受けた回数や月数から数えます。
入会金・初期費用・関連商品
- 入会金や入学金について、消費者庁のQ&Aは、精算のルールに従って返すべき性格のもので、「入学金(入会金)は返還しない」といった特約は無効になるとしています。ただし、初期費用にあたる部分のうち、「提供された役務の対価」として説明できる合理的な費用は、請求できると考えられます。実際に請求できるか、いくらかは、個別のケースによります。詳しくはガイド「エステ・英会話の中途解約で入会金は戻る?」で説明しています。
- 初期費用を精算で請求するには、その具体的な内容と、中途解約のときは請求することを、契約締結時に交付する書面の「精算に関する事項」に書いておく必要があります(消費者庁のQ&A)。
- 関連商品(エステの化粧品、語学の教材など、役務を受けるために購入する必要があると書面に書かれた商品)も、中途解約のときにまとめて解除できます。返還したときは「通常の使用料」、返さなかったときは販売価格、引渡し前なら契約の締結・履行の費用が、請求できる上限です(49条5項・6項)。このツールは、関連商品の精算を計算しません。
- 上限に加えて、法定利率による遅延損害金を請求される場合があります(49条2項)。このツールには入れていません。
このツールで計算しないこと・確認できていないこと
- その契約が特定継続的役務提供にあたるか(サービスの内容、期間、金額)。入力した期間・金額から、目安の確認だけをします。チケット制・会員権制の扱いは、消費者庁のQ&Aを見てください。
- 「役務の対価の総額」に入会金などを含めるか、「提供された役務の対価」がいくらになるかは、契約書の内訳と実際の利用によります。ツールは、入力された金額をそのまま使います。
- 契約残額に率をかけて円未満の端数が出たときは、上限なので切り捨てています。条文は端数の扱いを定めていません。
- 家庭教師・学習塾で、1か月分の役務の対価が契約残額より大きいとき、上限が契約の総額を超えることがあります。その場合に総額を超えて請求できるかどうかは、条文には書かれていません。ツールは、そのことを注意として表示します。
- 中途解約の意思表示の方法や、事業者との交渉、解約を認めない事業者への対応。困ったときは、お近くの消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談してください。
- 条文は、e-Govの現行の本文(特定商取引法は2026年8月12日施行分、施行令は2026年6月1日施行分。2026年9月27日確認)です。2027年7月22日に施行される予定の特定商取引法の改正でも、41条・42条・44条・48条・49条の本文は変わりません。施行令に、施行されていない改正はありません。
出典
計算結果は一般的な目安であり、法律・税務その他の専門的助言ではありません。航空券や契約書、期限の管理など重要な場面では、公式の情報や専門家の説明でもご確認ください。