法定養育費の月2万円は、裁判所の養育費の算定表と比べて多い?少ない? 義務者の年収が300万円なら下限の半分、200万円なら上限以上

令和8年4月1日からの法定養育費は子1人月額2万円で、親の収入では変わりません。裁判所の算定表(令和元年版)の子1人・子2人の表から、給与所得者どうしの一部のマスを読み、2万円・4万円と並べました。義務者の年収が200万円・300万円・500万円・800万円のとき、算定表の目安との差はどれくらいか。

公開日 2026年10月17日

令和8年(2026年)4月1日から、養育費の取決めをしないまま離婚しても、子を主として監護する親は、もう一方の親に、法定養育費(暫定的な養育費)を請求できます。額は、子1人あたり月額2万円です。では、この2万円は、裁判所が使っている「養育費・婚姻費用算定表」の目安と比べて、多いのでしょうか、少ないのでしょうか。算定表の一部を読んで、並べてみます。

法定養育費は、親の収入で変わらない一定額

法定養育費の額は、民法766条の3が「子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定める」としています。省令(令和7年法務省令第56号)は、2万円に子の数をかけた額と定めました。父母の収入は、額に入りません。法務省は、この制度を暫定的・補充的なものとして、収入などを踏まえた適正な額は、協議や家庭裁判所の手続で取り決めるよう勧めています。

一方、算定表の養育費は、支払う親(義務者)と、子を育てている親(権利者)の年収で決まります。縦に義務者、横に権利者の年収をとり、交わる枠の「標準的な月額」の幅を読みます。幅は、義務者の年収が低いときは1万円、それ以外は2万円です。給与所得者の年収は、源泉徴収票の「支払金額」です(裁判所の説明)。

子1人(0〜14歳)の算定表と、法定養育費2万円

表1 養育費・子1人表(子0〜14歳)の一部。給与所得者どうし。月額の目安
義務者の年収権利者 0万円権利者 100万円権利者 200万円権利者 300万円
200万円2〜4万円1〜2万円1〜2万円1〜2万円
300万円4〜6万円2〜4万円2〜4万円2〜4万円
400万円4〜6万円4〜6万円2〜4万円2〜4万円
500万円6〜8万円4〜6万円4〜6万円4〜6万円
600万円6〜8万円6〜8万円4〜6万円4〜6万円
700万円8〜10万円6〜8万円6〜8万円6〜8万円
800万円10〜12万円8〜10万円8〜10万円6〜8万円

義務者が給与年収200万円だと、権利者に収入がないとき(0万円)で2〜4万円、権利者が100万円以上なら1〜2万円です。2万円は、1〜2万円の枠の上限以上になります。義務者が300万円で権利者に収入がないときは4〜6万円で、2万円は、その下限の半分です。義務者が500万円で権利者が100万円なら4〜6万円、義務者が800万円で権利者に収入がないときは10〜12万円です。

子2人(ともに0〜14歳)の算定表と、法定養育費4万円

表3 養育費・子2人表(第1子及び第2子0〜14歳)の一部。給与所得者どうし。月額の目安
義務者の年収権利者 0万円権利者 100万円権利者 200万円権利者 300万円
200万円2〜4万円2〜4万円1〜2万円1〜2万円
300万円4〜6万円4〜6万円2〜4万円2〜4万円
400万円6〜8万円4〜6万円4〜6万円4〜6万円
500万円8〜10万円6〜8万円6〜8万円6〜8万円
600万円10〜12万円8〜10万円8〜10万円6〜8万円
700万円12〜14万円10〜12万円10〜12万円8〜10万円
800万円14〜16万円12〜14万円10〜12万円10〜12万円

子が2人なら、法定養育費は4万円です。義務者が300万円で権利者に収入がないときの算定表は4〜6万円、義務者が500万円で権利者が100万円なら6〜8万円、義務者が800万円で権利者に収入がないときは14〜16万円です。義務者が200万円で権利者が200万円なら1〜2万円で、4万円を下回ります。

この比較から言えるのは、法定養育費の額が、算定表の目安より低いことが多い、ということです。義務者の年収が低く、権利者に収入がある組み合わせでは、2万円が算定表の目安と同じか、それ以上になることもあります。ただし、支払う側は、支払能力がないために支払えないことなどを証明すれば、全部または一部の支払いを断れます(民法766条の3第1項ただし書)。

算定表を読むときの注意(裁判所の説明より)

  • 算定表は、標準的な養育費を簡易迅速に算定するためのものです。最終的な金額は、いろいろな事情を考慮して決まります。裁判所の判断が、算定表の金額と常に一致するわけではなく、当事者の合意でも、事情を考慮して金額を決めることがあります(裁判所の説明)。
  • 子が複数のとき、子1人あたりの額は、算定表の額を子の指数(0〜14歳が62、15歳以上が85)で割り振って求められます(裁判所の説明)。
  • この記事の表は、算定表のうち、子が0〜14歳の表1・表3の、給与所得者どうしの一部のマスです。15歳以上の子、子が3人、自営業者の欄、婚姻費用の表は読んでいません。
  • 算定表は、令和元年12月23日に公表された版(改定標準算定方式・算定表)が、裁判所のページに載っています(2026年10月17日に確認)。

財産分与と年金分割の請求期限(令和8年4月1日以後の離婚は5年、前の離婚は2年)は、養育費とは別の期限です。離婚の日ごとの最終日は、ガイド「財産分与・年金分割の期限は、離婚の日が3月31日か4月1日かで3年変わる」に並べています。

この記事で確認していないこと

  • 算定表は、数値の一覧ではなく、色分けされたグラフの画像です。この記事の数字は、PDFの1マスごとの色を読み取って、表に書かれている「0〜1万円、1〜2万円、2〜4万円…」の帯の順に当てはめたものです。裁判所の説明書の使用例(表3、権利者200万円・義務者725万円で10〜12万円)と一致し、帯の数が表の表記と同じことを確かめ、いくつかのマスは拡大した画像で目でも確認しました。ただし、全マスを目で確かめてはいません。実際に使うときは、裁判所のPDFを見てください。
  • 年収が表の刻み(25万円)の間にあるときは、近いほうの欄を使います(裁判所の説明)。この記事の表は、刻みの値だけです。
  • 法定養育費が生じていた期間の分と、あとで取り決めた養育費との関係(取決めのまえの分をあとから請求できるか、など)は、この記事では確認していません。法定養育費の期間と額は、法定養育費の計算で計算できます。
  • 個別の事案の判断は、家庭裁判所の窓口、弁護士、法テラス、養育費・親子交流相談支援センターなどにご相談ください。

離婚後の財産分与・年金分割などの期限は離婚後の手続き・請求の期限の計算で、子が18歳になる日などの数え方は年齢計算で確かめられます。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。