財産分与・年金分割の期限は、離婚の日が3月31日か4月1日かで3年変わる:令和8年4月1日の改正

財産分与を家庭裁判所に請求できる期間と、年金分割の請求期限は、令和8年4月1日に2年から5年に延びましたが、新しい5年は同日以後に離婚した人だけで、3月31日以前の離婚は2年のままです。離婚の日ごとの最終日の表、2年が終わった人・続く人の境目、5年の数え方(うるう日)、年金分割の6か月の特例を、民法・厚生年金保険法と法務省・厚生労働省・日本年金機構の案内で整理します。

公開日 2026年10月12日

離婚したあとに、財産分与や年金分割を請求できる期間は、令和8年(2026年)4月1日に2年から5年に延びました。ただし、新しい5年が使えるのは、離婚の日が令和8年4月1日以後の人だけです。3月31日までに離婚した人は、2年のままです。この記事では、離婚の日ごとの最終日を表にして、2年が終わっている人・まだ続いている人・5年になる人の境目と、年金分割の特例、期限の数え方を、条文と法務省・厚生労働省・日本年金機構の案内にそって整理します。

結論
  • 財産分与を家庭裁判所に請求できる期間(民法768条2項ただし書)は、離婚の時から2年だったのが、令和8年4月1日施行の改正で5年になりました。年金分割の請求期限(厚生年金保険法78条の2第1項ただし書)も、同じ日から、離婚が成立した日の翌日から5年です。
  • 施行日の前に離婚した場合は、なお従前の例による(令和6年法律第33号附則4条、令和7年法律第74号附則10条)。法務省と日本年金機構も「令和8年3月31日以前に離婚した場合は2年」と案内しています。
  • 離婚の日が2026年3月31日なら最終日は2028年3月31日、2026年4月1日なら2031年4月1日です。離婚の日が1日ちがうだけで、最終日は3年と1日ちがいます。
  • 2年だった人の期限が、あとから5年に延びることはありません。2024年3月31日までに離婚した人の2年は、施行日の前日までに終わっています(この記事の計算)。
  • 年金分割は、分ける割合が決まっていても、年金事務所に請求しないと分割されません(法務省)。

何が、いつ変わったのか

民法768条2項は、財産分与について当事者の協議が調わないとき、または協議ができないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できると定めています。ただし書は、離婚の時から5年を経過したときは、この限りでないとしています。改正前は「二年」でした。令和6年法律第33号(民法等の一部を改正する法律)が、これを「五年」に改め、令和8年4月1日に施行されました。法務省は、施行日を令和7年10月31日の閣議決定で、令和8年4月1日としています。

同じ法律の附則4条は、「施行日前に離婚し、又は婚姻が取り消された場合における財産の分与に関する処分を家庭裁判所に請求することができる期間の制限については、なお従前の例による」と定めています。つまり、施行日前に離婚した人には、新しい5年は適用されず、2年のままです。法務省の「りこんポータル」も、離婚から5年(令和8年3月31日以前に離婚した場合は2年)が経過すると、家庭裁判所に申立てをすることができなくなる、と案内しています。

年金分割の請求期限は、民法の財産分与にそろえて延ばされました。厚生労働省の年金部会の資料(2024年11月)は、年金分割の期限が2年なのは、民法の財産分与請求権の除斥期間が2年とされていることを踏まえたものであり、民法の期間が5年に伸びることに伴い、年金分割も5年にすると説明しています。改正の理由として、離婚の前後の事情で2年以内に財産分与を請求できず、結果として経済的に困窮する人がいることが挙げられています。厚生年金保険法78条の2第1項ただし書が、令和7年法律第74号で2年から5年に改められ、同法附則10条が、施行日前に離婚等をした場合は、なお従前の例によると定めています。施行日は、日本年金機構が令和8年4月1日と案内しています。

離婚の日ごとの最終日

次の表は、財産分与を家庭裁判所に請求できる最終日です。年金分割の請求の最終日も、同じ日になります(離婚の日の翌日から数えるため)。最終日は、離婚の日と同じ月日です。日付は、数え方を見せるための例です。

離婚の日期間最終日令和8年4月1日との関係
2023年4月1日2年2025年4月1日施行日の前に終わっている
2024年3月31日2年2026年3月31日施行日の前に終わっている
2024年4月1日2年2026年4月1日最終日が施行日。2年のまま(延長なし)
2025年4月1日2年2027年4月1日2年のまま(施行日の時点でまだ続いている)
2026年3月31日2年2028年3月31日2年のまま(施行日の時点でまだ続いている)
2026年4月1日5年2031年4月1日5年
2026年10月12日5年2031年10月12日5年
2027年4月1日5年2032年4月1日5年

2024年4月1日に離婚した人の2年は2026年4月1日、つまり施行日が最終日です。法律が変わった日にも、2年の期限は延びません。2024年4月2日以後に離婚した人は、施行日の時点で2年の途中にいますが、附則の「なお従前の例による」により、そのまま2年で数えます。離婚の日が2026年3月31日なら、最終日は2028年3月31日です。

この表は、令和8年10月時点の法令(e-Gov)にもとづきます。自分の離婚の日で調べるときは、離婚後の手続き・請求の期限の計算が使えます。

5年の数え方:離婚の日と同じ月日が最終日

民法768条2項は「離婚の時から五年を経過したとき」、厚生年金保険法施行規則78条の3は「離婚が成立した日の翌日から起算して五年を経過した場合」と書いています。民法140条により、離婚の日は数えず、翌日から数えます。民法143条2項により、期間は、起算日に応当する日の前日に満了します。そのため、最終日は、離婚の日と同じ月日です。2026年10月12日に離婚した人は、2031年10月12日までです。

2月の末日に離婚したときは、翌日が3月1日で、そこから5年後の3月1日の前日が最終日です。そのため、5年後がうるう年かどうかで、最終日が2月28日になる年と、2月29日になる年があります。次の表は、この記事の計算です(民法の条文からの計算で、日付の例が書かれた公的な資料は確認できていません)。

離婚の日最終日(5年)
2030年2月28日2035年2月28日
2031年2月28日2036年2月29日
2032年2月29日2037年2月28日

最終日が土曜・日曜・祝日にあたるときに、翌日まで延びるかどうかは、条文にも法務省・日本年金機構の案内にも書かれていません。窓口が開いている日に出すのが安全です。

年金分割の「6か月の特例」

年金分割には、期限に間に合わせる手続きが裁判所で進んでいる人のための特例があります(厚生年金保険法施行規則78条の3第2項。日本年金機構も同じ内容を案内しています)。通常の期限(離婚の日の翌日から5年を経過する日)の後、または、その経過する日の前6か月以内に、請求すべき按分割合を定めた審判が確定したとき・調停が成立したとき(この2つは、通常の期限の前に申立てがあったときだけ)、または、離婚の裁判に付随して按分割合を定めた判決が確定したとき・和解が成立したときは、その日の翌日から起算して6か月を経過するまで請求できます。

2026年10月12日に離婚した人の通常の期限は2031年10月12日です。次の例は、この記事の計算です。

  • 通常の期限の前に審判を申し立て、2032年1月20日に按分割合を定めた審判が確定した:特例が使えます。確定の日の翌日から6か月で、請求の最終日は2032年7月20日です。
  • 同じ日に審判が確定しても、通常の期限の前に申立てをしていなかった:特例は使えません(審判・調停は、通常の期限の前の申立てが条件です)。
  • 2031年3月1日に調停が成立した(通常の期限の6か月より前):特例の対象ではなく、通常の期限(2031年10月12日)のままです。
  • 2031年4月13日に判決が確定した(通常の期限の経過する日2031年10月13日の、ちょうど6か月前):特例の対象で、最終日は2031年10月13日です。通常の期限(2031年10月12日)より1日だけ後ろです。

このほか、年金分割は、離婚等が成立したあとに相手方が亡くなったとき、亡くなった日から起算して1か月を経過すると請求できなくなります(法務省の案内)。この記事では、これらの特例の要件に自分があてはまるかどうかは判定していません。

離婚のあとの子の費用は、別の期限・別の制度です。令和8年4月1日以後に養育費の取決めをしないまま離婚したときの法定養育費は、ガイド「法定養育費の月2万円は、裁判所の養育費の算定表と比べて多い?少ない?」で、算定表と並べています。

期限が近いとき、ここで確認できていないこと

財産分与の期限は、家庭裁判所に調停や審判を「申し立てる」までの期限です(法務省)。年金分割は、年金事務所に標準報酬改定請求書を提出する必要があります(法務省)。どちらも、期限までに手続きが必要です。条文が制限しているのは家庭裁判所への請求で、当事者どうしの話し合いで分与を決めること自体の扱いは、この記事では調べていません。

  • 民法768条2項の期限が、時効なのか除斥期間なのかは、条文には書かれていません。厚生労働省の年金部会の資料は「除斥期間」と書いています。
  • 離婚の日が成立した日(協議離婚は届出をした日、調停や裁判は成立・確定の日)に当たることは、この記事の前提です。
  • 2年がすでに過ぎている人が、事情によって請求できるかどうかは、この記事では判断していません。弁護士会・法テラス・年金事務所などに相談してください。
  • 慰謝料・養育費・面会交流・氏の続称の届出(3か月)・国保と国民年金の届出(14日)は、別の期限です。まとめて確認したいときは、離婚後の手続き・請求の期限の計算を使えます。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。