遺産分割の「10年ルール」はいつまで? 令和5年4月1日より前の相続は令和10年3月31日まで、平成30年4月以後に亡くなった相続は10年(早見表)

相続開始から10年を過ぎると、遺産分割で特別受益・寄与分を考慮した具体的相続分が使えなくなります(民法904条の3)。令和5年4月1日より前に始まった相続は、10年と施行から5年(令和10年3月31日)の遅いほうが期限です。亡くなった日ごとの期限の早見表、期限の前にすること、相続人でない人の特別寄与料(6か月・1年)との違いを整理します。

公開日 2026年10月22日

遺産分割の「10年ルール」は、「10年たつと遺産分割ができなくなる」という意味ではありません。相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を考慮した取り分(具体的相続分)を、家庭裁判所の手続で求められなくなり、法定相続分(または指定相続分)で分ける、という制限です。そして、令和5年(2023年)4月1日より前に始まった相続には、経過措置があり、期限が一律に10年とは限りません。

結論
  • 令和5年4月1日以後に始まった相続: 亡くなった日の10年後の応当日までに、家庭裁判所に遺産分割を請求すれば、具体的相続分で分けられます(民法904条の3第1号)。
  • 令和5年4月1日より前に始まった相続: 10年を経過する時と、施行の時から5年を経過する時の、遅いほうまでです(改正法の附則3条)。平成30年(2018年)3月以前に亡くなった場合は、5年のほうが遅く、2028年3月31日までです。
  • 10年が過ぎても、相続人全員が合意すれば、協議で遺産を分けることはできます(907条1項)。変わるのは、特別受益・寄与分を考慮した分け方を、裁判所に求められるかどうかです(このページの読み)。

いつ亡くなった相続が、いつまでか(早見表)

亡くなった日家庭裁判所への分割請求の期限決め手
2010年6月1日2028年3月31日施行から5年
2015年12月31日2028年3月31日施行から5年
2018年3月31日2028年3月31日10年と5年が同じ日
2018年4月1日2028年4月1日10年
2020年6月15日2030年6月15日10年
2022年12月31日2032年12月31日10年
2023年3月31日2033年3月31日10年(経過措置の対象だが10年のほうが遅い)
2023年4月1日2033年4月1日10年
2026年10月22日2036年10月22日10年

期限は、亡くなった日を数えず(民法140条)、翌日から10年を数えた日です(このページの読み)。亡くなった日を数える読みでは、10年のほうが決め手の行は、1日早く満了します。自分の相続の日付は、遺産分割の10年ルールの計算で調べられます。施行から5年は、午前0時から始まる施行日の初日を数えて、令和10年3月31日の終わりに満了します。

10年が過ぎる前に、何をすれば間に合うか

  • 相続人が、期限の前に、家庭裁判所に遺産分割を請求すれば、10年が過ぎたあとでも、具体的相続分で分けられます(904条の3第1号)。協議がまとまらないときの請求の仕方は、907条2項(協議が調わないとき、各共同相続人は分割を家庭裁判所に請求できる)です。
  • 寄与分を主張するには、遺産分割の請求(907条2項)があった場合などに、家庭裁判所に請求する形になります(904条の2第4項)。
  • 10年の満了前6か月以内にやむを得ない事由があった人は、その事由が消えた時から6か月を経過する前に請求できます(904条の3第2号)。何が「やむを得ない事由」かは、この記事では判断しません。

相続人でない人の「特別寄与料」は、もっと短い

相続人でない親族が、無償で被相続人の療養看護などをして特別の寄与をしたときは、相続人に特別寄与料を請求できます(民法1050条)。家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できるのは、相続の開始と相続人を知った時から6か月以内で、かつ、相続開始の時から1年以内です(同条2項)。10年ルールの期限とは別の、ずっと短い期限です。

この記事で確認していないこと

  • 「相続開始の時から十年」「施行の時から五年」の数え方(亡くなった日を数えない読み)には、条文・附則・法務省の解説のどこにも日付の例がありません。令和10年3月31日・4月1日の境目にあたるときは、法務局・家庭裁判所・弁護士に確認してください。
  • 特別受益・寄与分の有無や額、10年が過ぎたあとの分け方の具体的な割合、遺産分割の禁止(908条)、相続税・相続登記の期限は扱いません。相続の手続の期限は相続の手続き期限の計算にあります。
  • 条文は、e-Govの現行の本文を2026年10月22日に確認しました。法務省の解説は、マンガ形式の資料で、日付の例は載っていません。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。