仕事中のケガで休んだら、最初の3日間は誰が払う? 労災の休業補償は4日目から、会社の分と労災の分(日数別の早見表・最低保障)

仕事中のケガで休んだとき、最初の3日間(待期期間)は労災保険からは出ず、業務災害なら会社が平均賃金の60%を払い、4日目から労災保険が給付基礎日額の60%と特別支給金20%を出します。月給20万円の休業日数別の会社の分・労災の分、平均賃金が最低保障4,350円になる月給の目安、通勤災害との違い、請求の時効は日ごとに2年を整理します。

公開日 2026年10月28日

仕事中のケガで休むと、労災保険の休業補償給付が出ます。ところが、その給付は「休業の4日目から」で、最初の3日間は労災保険からは出ません。この3日間を誰が払うのか、いくら違うのか、最低保障になるのはどんなときかを、厚生労働省の資料と条文から整理します。

結論
  • 最初の3日間(待期期間)は、業務災害(仕事中)なら、労働基準法76条により会社が平均賃金の60%を払います。4日目からは、労災保険が給付基礎日額の60%、これとは別に休業特別支給金が20%(合わせて80%)を出します。
  • 通勤災害は、労働基準法の災害補償の対象ではないので、最初の3日間に会社が払う決まりはありません(厚生労働省のパンフレットは「業務災害の場合」としています)。
  • 月給が一定額より低いと、給付基礎日額は最低保障額(令和8年8月1日以降は4,350円)になります。請求の時効は、賃金を受けない日ごとに、その翌日から2年です。

休んだ日数ごとの、会社の分と労災の分(月給20万円の例)

月給20万円(直前3か月が同額で92日)、事故が仕事中で、休んだ日は全部賃金が出ないとします。平均賃金は6,521円73銭、給付基礎日額は6,522円です(厚生労働省のQ&Aと同じ例)。会社の分は平均賃金の60%を日数分(円未満は四捨五入、このページの計算)、労災の分は4日目からの1日あたり、休業補償給付3,913円と休業特別支給金1,304円です。

続けて休んだ日数会社が払う分(最初の3日まで)休業補償給付休業特別支給金合計
1日3,913円0円0円3,913円
3日11,739円0円0円11,739円
4日11,739円3,913円1,304円16,956円
5日11,739円7,826円2,608円22,173円
7日11,739円15,652円5,216円32,607円
10日11,739円27,391円9,128円48,258円
14日11,739円43,043円14,344円69,126円
30日11,739円105,651円35,208円152,598円

3日以内に復帰すると、労災保険からは何も出ません。この例の会社の分(1日3,913円ほど)は、労働基準法76条1項で会社が払う決まりです。4日目からは1日5,217円(労災が80%)になり、30日続けて休むと、合計は152,598円です。なお、給付は休業の1日ごとに1円未満を切り捨てるので、「日数×1日の額」の積み上げと、まとめて計算した額は、1円単位でずれることがあります。

月給が違うと(30日続けて休んだとき)

同じ条件(直前3か月が同額で92日、全部休業)で月給だけを変えた例です。労災の給付は、給付基礎日額に比例するので、月給が高いほど増えます。

月給給付基礎日額会社の分(3日)労災の給付(27日)特別支給金合計
200,000円6,522円11,739円105,651円35,208円152,598円
300,000円9,783円17,609円158,463円52,812円228,884円
400,000円13,044円23,478円211,302円70,416円305,196円

どの月給でも、30日の合計は月給の約76%(76.3%)になります。平均賃金は「月給÷30日」ではなく「3か月の賃金÷92日」なので、1日あたりの額が月給の30分の1より少し小さく、そこから会社の分60%・労災の分80%が計算されるためです。月によって暦日数が89〜92日と変わると、この割合も少し変わります。

給付基礎日額が最低保障になるのは、月給がいくらより低いとき

給付基礎日額(平均賃金に相当する額)が最低保障額に満たないときは、最低保障額が給付基礎日額になります(労災保険法施行規則9条1項5号)。令和8年8月1日以降は4,350円(改定前4,250円)です。直前3か月の賃金が同額なら、最低保障になるのは次の月給より低いときです(月給×3か月÷暦日数が4,350円に満たない)。

直前3か月の暦日数最低保障になる月給(3か月同額)
89日129,050円未満
90日130,500円未満
91日131,950円未満
92日133,400円未満

たとえば月給12万円で92日なら、平均賃金は3,913円04銭で、最低保障の4,350円になります。休業4日目からの1日あたりは、休業補償給付2,610円と休業特別支給金870円で3,480円です(最低保障がなければ、3,914円から2,348円と782円で3,130円)。パートで短時間の人は、日給・時給の最低保障(労働基準法12条)を含めた平均賃金の計算が先に必要なので、平均賃金の計算で求めてください。

仕事中と通勤中の違い

業務災害(仕事中)通勤災害(通勤中)
給付の名前休業補償給付(14条)休業給付(22条の2)。額は14条を準用
最初の3日間会社が平均賃金の60%(労基法76条)労災保険からも会社の義務としても出ない(パンフレットは「業務災害の場合」としている)
一部負担金なし療養給付を受けるとき、最初の休業給付から200円を引く(法22条の2第3項、施行規則44条の2。第三者の行為による事故などは除く)
解雇の制限休業する期間とその後30日間は解雇できない(労基法19条。打切補償などの例外あり)19条の文言は「業務上」の負傷・疾病。通勤災害に当たるかは、この記事では確認していない

請求の時効は、休んだ日ごとに2年

休業補償給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効にかかります(労災保険法42条)。厚生労働省のパンフレットは、賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年、としています。つまり、1か月休んだとき、最初の日の分から順に時効にかかっていきます。民法の期間の数え方(初日不算入)で読むと、2026年5月10日に休んだ日の分は2028年5月10日まで、2026年5月12日の分は2028年5月12日までです(このページの読みで、日付の例は見つけていません)。数え方は時効の完成日の計算、請求する日は労災の休業補償給付の計算で、休んだ日から調べられます。

労災の給付には税金がかからない

労災保険法12条の6は、「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することはできない」と定めています。休業補償給付(保険給付)には、所得税などがかかりません。休業特別支給金は、保険給付ではなく社会復帰促進等事業の支給金で、課税関係をこの記事では確認していません。

この記事で確認していないこと

  • 待期期間の数え方(休日や有給休暇の日を含めるか、続けて休まなくてよいか)は、条文が「賃金を受けない日の第四日目」としているだけで、公的な日付の例を見つけていません。会社の休日に当たる日を数えるかなど、迷うときは労働基準監督署に確認してください。
  • 休業給付基礎日額のスライド(8条の2第1項)、1年6か月を過ぎたあとの年齢階層別の限度額、傷病補償年金、障害年金との調整は扱いません。
  • 会社が待期期間に払う額の円未満の処理は、条文に規定を見つけていないので、四捨五入と置いています。仕事中のケガかどうか(業務上・通勤の認定)は、労働基準監督署が判断します。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。