代替休暇の計算
1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金の代わりに、有給の休暇(代替休暇)を取れる制度の計算です。60時間を超えた時間 × 換算率で休暇の時間数を出し、1日・半日の単位、端数、取得できる期間(末日の翌日から2か月以内)、前の月との合算、取得した場合の賃金の変化を確かめられます。
代替休暇の時間数(60時間を超えた分 × 換算率)
4時間
60時間を超えた時間は16時間、換算率は25%です。
- 1日・半日の単位で取れる分
- 0日 + 半日1回(4時間)
- 単位に満たない端数
- なし
労使協定で代替休暇の制度を設けている会社の計算です。取得するかどうかは労働者の意思で、協定で、算定方法・単位・期間・取得日の決め方・賃金の支払日を定める必要があります。法定休日の労働、深夜の割増は含みません。実際の取り扱いは、勤め先の協定・就業規則や、労働基準監督署・労働局でご確認ください。
代替休暇のルール
- 1か月について60時間を超えた時間外労働には、5割以上の割増賃金を支払います(労基法37条1項ただし書)。労使協定を結べば、その5割以上の率に引き上げられた部分の割増賃金の代わりに、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(代替休暇)を与えることができます(37条3項)。令和5年(2023年)4月1日から、中小企業にも、この割増賃金率の引上げが適用されています(福井労働局のリーフレット)。
- 代替休暇の時間数は、60時間を超えた時間外労働の時間数に、換算率をかけた時間数です。換算率は、代替休暇を取得しなかった場合の割増賃金率から、取得した場合の割増賃金率を引いた率です(施行規則19条の2)。割増賃金の支払が要らなくなる時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で割った時間です。
- 労使協定では、①時間数の算定方法、②単位(1日または半日。代替休暇以外の、通常の賃金が支払われる休暇と合わせた1日・半日を含む)、③与えることができる期間(60時間を超えた1か月の末日の翌日から2か月以内)、を定めます。厚生労働省の資料は、取得日の決め方と割増賃金の支払日も定めておくよう求めています。
- 制度があっても、取得するかどうかは労働者が決めます。厚生労働省の資料の説明では、取得期間内に取得されなかった場合でも、割増賃金の支払義務はなくならず、代替休暇に代えるはずだった分も含めた、すべての割増賃金を支払う必要があります。
計算の例(厚生労働省の資料の例)
- 1か月80時間の時間外労働で、取得しなかった場合の率が50%、取得した場合が30%なら、換算率は20%で、代替休暇は(80 − 60)× 0.20 = 4時間です。同じ月に76時間で、取得した場合が25%なら、換算率は25%で、(76 − 60)× 0.25 = 4時間です。
- 平日の取得した場合の率が25%、土曜(法定外休日)が35%、取得しなかった場合がどちらも50%で、88時間のうち、60〜80時間が平日、80〜88時間が土曜なら、平日の換算率は25%、土曜は15%で、(80 − 60)× 0.25 +(88 − 80)× 0.15 = 6.2時間です。
- 1日の所定労働時間が8時間で、代替休暇が10時間なら、1日(8時間)の代替休暇を取り、端数の2時間は割増賃金で受け取る方法と、端数の2時間に他の有給休暇2時間を合わせて半日にする方法があります(後者は労使協定で認めた場合)。
- 4月に6時間分、5月に2時間分の代替休暇に相当する時間外労働をした場合、4月分の期間は2026年5月1日(金)から2026年6月30日(火)まで、5月分の期間は6月・7月で、重なる2026年6月1日(月)〜2026年6月30日(火)に合算して、6 + 2 = 8時間(1日)の代替休暇を取れます。
- 賃金の例(福井労働局):1時間当たりの賃金が2,000円で70時間の時間外労働なら、60時間 × 2,000円 × 1.25 + 10時間 × 2,000円 × 1.50 = 180,000円です。換算率25%の代替休暇は(70 − 60)× 0.25 = 2.5時間で、その分を取得すると、減る額は2,000円 × 2.5時間 = 5,000円、賃金は175,000円(引上げ前の計算と同じ額)です。この例の2.5時間は、半日(4時間)に満たないので、1日・半日の単位では取れません。
1時間当たりの賃金の出し方は固定残業代の逆算や勤務時間計算、月の時間外労働の上限は時間外労働の上限チェックで確かめられます。
このツールで計算しないこと・確認できていないこと
- 法定休日の労働は、60時間の算定に含まれません(厚生労働省の資料)。このツールの「時間外労働」には、法定休日の労働を含めないで入力してください。所定休日(土曜など)に行った法定時間外労働は含まれます。
- 深夜(22時〜5時)の割増、60時間以内の時間外・休日の割増、時間単価の計算は含みません。賃金の変化は、時間外労働の賃金(60時間までは125%、超えた分は取得しなかった場合の率)だけを、時間単価 × 時間で計算した目安です。
- 半日の数え方は、このツールでは1日の所定労働時間の半分です。厚生労働省の資料は、午前の3時間半と午後の4時間半のように、労使協定で定めれば、厳密に半分にしなくてもよいとしています。
- 労使協定の有無と内容、取得の意向確認の手続き、取得日の決め方、賃金の支払日、就業規則の定め。会社に代替休暇の制度がなければ、このツールの結果は使えません。
- 1か月の起算日は、賃金計算期間の初日などです(厚生労働省の資料)。取得できる期間は、入力した末日の翌日から2か月以内で、翌日を初日に算入して暦で数えています(厚生労働省の例: 4月の分は5〜6月)。賃金計算期間の末日が月末でないときは、末日の日付を入れてください。
- 厚生労働省の2つの資料(改正労働基準法)は、中小企業の猶予措置があった当時のもので、猶予についての記述は現在は当てはまりません(令和5年4月1日から適用。福井労働局のリーフレット)。代替休暇の算定方法・単位・期間・合算の部分は、施行規則19条の2と照らして使いました。
- 条文は2026年10月6日にe-Gov法令検索で確認しました(37条と施行規則19条の2は、現行と未施行の版で同じ)。厚生労働省の資料は、このサイトで確認した範囲です。制度は改正が続くので、手続きの前に、勤め先の協定と厚生労働省の最新の資料で確かめてください。
出典
- e-Gov法令検索 — 労働基準法(37条1項ただし書 1箇月60時間を超える時間外労働は5割以上、3項 代替休暇)、同施行規則(19条の2 代替休暇の労使協定で定める事項、換算率、期間)。2026年10月6日に確認。現行と未施行の版で同じ
- 厚生労働省「改正労働基準法」関連資料(代替休暇の算定方法の例1〜4、1日・半日の単位と端数、取得できる期間と合算、労使協定・就業規則の例、Q&A。例の時間数をこのツールのテストの基準にしています)
- 厚生労働省「改正労働基準法」(月60時間超の割増賃金率、代替休暇の労使協定で定める4つの事項)
- 福井労働局「2023(令和5)年4月1日から中小企業も時間外労働の割増賃金率を引き上げる必要があります!」(令和4年4月。中小企業の猶予措置は令和5年3月31日で廃止。76時間の代替休暇の例、時間単価2,000円・70時間の賃金の例、労使協定例)
計算結果は一般的な目安であり、法律・税務その他の専門的助言ではありません。航空券や契約書、期限の管理など重要な場面では、公式の情報や専門家の説明でもご確認ください。