派遣の「3年ルール」は、「3年たったら辞めさせられる」という話ではなく、派遣先の事業所ごとの期間制限と、派遣労働者個人ごとの期間制限という、2つの別の制限です。どちらも、3年を超える最初の日(抵触日)から先は、受け入れられません。抵触日は、「3年後の3月31日」ではなく、4月1日に始めたなら、3年後の4月1日です。
- 事業所単位:派遣先の事業所で、同じ業務に有期雇用の派遣を受け入れられるのは、原則3年です。過半数労働組合等の意見を聴けば、3年を限り延長できます(これを繰り返せます)。
- 個人単位:同じ人を、同じ組織単位(課など)で受け入れられるのは3年までで、延長はできません。事業所単位を延長しても、同じ人は3年で別の組織単位に移るか、派遣が終わります。
- 空白期間:派遣が終わってから次の派遣までが3箇月以下なら、継続しているとみなされます。3箇月を超えて空くと通算されませんが、制度を避けるための空白は、法の趣旨に反するとされています(厚生労働省の要領)。
抵触日は「3年後の応当日」:月初・月末・うるう日の例
厚生労働省の要領と大阪労働局の記載例では、令和8年4月1日に受入れを始める場合の抵触日は令和11年4月1日です。下の表は、受入れ開始日から3年後の応当日(抵触日)と、延長するときの意見聴取期間の最後の日(抵触日の1か月前の日)を並べたものです。
| 受入れ開始日 | 抵触日(受け入れられる最後の日の翌日) | 延長の意見聴取期間の最後の日 |
|---|---|---|
| 2026年4月1日 | 2029年4月1日 | 2029年3月1日 |
| 2026年10月21日 | 2029年10月21日 | 2029年9月21日 |
| 2027年1月31日 | 2030年1月31日 | 2029年12月31日 |
| 2028年2月29日 | 2031年3月1日 | 2031年2月1日 |
うるう日(2月29日)に始めた場合は、3年後に応当日がないので、3月1日が抵触日です(民法143条2項。このページの読みです)。意見聴取期間は、派遣法40条の2第3項が「最初の日の一月前の日までの間」と定めています。月末の抵触日の1か月前に、同じ日がない月は、月末としています(このページの読みです)。異議が出たときの説明は、抵触日の前日までです(同条5項)。
自分の日付は、派遣の3年ルール(抵触日)の計算で調べられます。延長後の抵触日や、2回目の意見聴取期間も出せます。
事業所単位を延長しても、個人単位は延長できない
要領は、派遣元が就業条件を明示するときに、個人単位と事業所単位の抵触日の両方を明示するとしています。個人単位の抵触日は延長されません。事業所単位が延長されても、同じ派遣労働者を同じ組織単位で3年を超えて受け入れてはならず、派遣先は、個人単位の期間制限を理由に、派遣元に派遣労働者の交代を求めることができます(要領)。派遣労働者の側から見ると、事業所単位の抵触日が先に来て延長されなければ、その時点が、その派遣先で働ける上限です。
空白期間は、どこまでなら「継続」か
3箇月は、前の派遣が終わった日の翌日(空白期間の初日)から暦の月で数えます(このページの読みです)。次の開始日が、下の表の日までなら継続とみなされ、その翌日以後は3箇月を超えます。
| 前の派遣の終了日 | 継続とみなされる最後の開始日 | 3箇月を超える最初の開始日 |
|---|---|---|
| 2026年3月31日 | 2026年7月1日 | 2026年7月2日 |
| 2026年4月30日 | 2026年8月1日 | 2026年8月2日 |
| 2026年5月31日 | 2026年9月1日 | 2026年9月2日 |
| 2026年6月15日 | 2026年9月16日 | 2026年9月17日 |
| 2026年8月31日 | 2026年12月1日 | 2026年12月2日 |
| 2026年11月30日 | 2027年3月1日 | 2027年3月2日 |
| 2026年12月31日 | 2027年4月1日 | 2027年4月2日 |
| 2027年1月31日 | 2027年5月1日 | 2027年5月2日 |
| 2027年2月28日 | 2027年6月1日 | 2027年6月2日 |
宮城労働局の資料は、クーリング期間が成立している場合を「派遣を受け入れていない期間が3か月+1日以上ある」と書いています。表の「3箇月を超える最初の開始日」は、空白期間が3か月+1日になる日で、この書き方と同じ境目です。継続していると判断されるときの期間は、継続と判断される最初の契約の始期から、最後の契約の終期までで見ます(要領)。
3箇月を超えたからといって、期間制限を免れられるとは限りません。要領は、派遣可能期間の延長の手続を避ける目的で、3箇月が経過したあとに再び受け入れて、実質的に受入れを継続するような行為は、法の趣旨に反する、としています(個人単位についても、同じ派遣労働者を3箇月が経過した後に再び受け入れることを、趣旨に反するとしています)。
同じ有期雇用でも、無期転換の申込権(通算5年を超える契約の期間)は、派遣の3年とは別の仕組みです。申込みの方法・期限は、ガイド「無期転換は会社に断れない?」にあります。
この記事で確認していないこと
- 期間制限の対象外になる派遣(無期雇用、60歳以上など)、「事業所」「組織単位」の範囲の判断、派遣元の雇用安定措置、労働契約申込みみなし制度、改正法の施行日(平成27年9月30日)より前に始まった派遣の経過措置は、扱っていません。
- 3箇月を暦の月で数える読みと、月末の抵触日の「1か月前の日」の読みには、法令・要領に日付の例がありません。境目の日にあたるときは、労働局(需給調整事業を担当する部署)に確認してください。
- 条文は、e-Govの現行の本文を2026年10月21日に確認しました(派遣法の2027年施行の2つの未施行の版でも、40条の2などは同じ)。要領は令和8年10月版です。