令和8年度の最低賃金はいつから? 都道府県別の発効日と、月給・手当のどこまでを含めて比べるか

令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円(56円増)で、令和8年10月1日から12月2日まで都道府県ごとに順次発効します。47都道府県の改定額と発効日の表に、月給・日給・歩合給の換算式、対象とならない賃金(残業代・賞与・通勤手当など)、厚生労働省と労働局の計算例をまとめます。

公開日 2026年10月1日 ・ 更新日 2026年10月13日

地域別最低賃金は、毎年秋に、都道府県ごとに改定されます。令和8年度(2026年度)は、全国の地方最低賃金審議会が答申を終えましたが、新しい額がいつから使われるかは、都道府県で違います。この記事では、厚生労働省が公表した都道府県別の改定額と発効日を表にし、自分の賃金が最低賃金以上かを調べるときに、月給や手当のどこまでを含めるのか、厚生労働省の換算式と計算例にそって整理します。

表の内容は、厚生労働省の「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」と最低賃金特設サイトを、2026年10月21日に確認したものです。答申(2026年9月3日)の時点の資料は、発効日に「予定」「異議の申出の状況等により変更となる可能性有」と注記していましたが、この2つにはその注記がありません。東京・大阪・岩手は、労働局の発表(東京は9月1日に決定・官報公示)でも、同じ額と発効日を確かめました。自分の県の決定額と発効日は、念のため都道府県労働局のページでも確認してください。

令和8年度の改定のあらまし

  • 全国加重平均は、昨年度の1,121円から56円上がって1,177円。56円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以来、2番目の大きさだと、厚生労働省は説明しています。
  • 47都道府県すべてで引き上げられ、引上げ額は54円から65円まで。最高額は東京都の1,280円、最低額は宮崎県の1,085円です。
  • 答申された額は、都道府県労働局での、関係労使からの異議申出の手続を経たうえで、労働局長の決定により、令和8年10月1日から12月2日までの間に順次発効します。2026年10月21日の時点で、発効日を迎えているのは32都道府県、これからなのは15県です。
  • 発効日が賃金の計算期間の途中(たとえば月の途中)にあっても、使用者は、発効日以降の労働に対しては、改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があると、大阪労働局は案内しています。最低賃金を下回って支払われた賃金との差額は、発効日にさかのぼって請求できると、岩手労働局が案内しています(令和8年10月2日の報道発表)。

都道府県別の改定額と発効日

都道府県改定前改定後(答申)引上げ額発効日
北海道1,075円1,131円+56円10月1日
青森県1,029円1,090円+61円10月29日
岩手県1,031円1,090円+59円12月1日
宮城県1,038円1,098円+60円10月1日
秋田県1,031円1,090円+59円10月14日
山形県1,032円1,092円+60円10月30日
福島県1,033円1,094円+61円10月16日
茨城県1,074円1,136円+62円10月18日
栃木県1,068円1,125円+57円10月1日
群馬県1,063円1,120円+57円10月3日
埼玉県1,141円1,196円+55円10月1日
千葉県1,140円1,195円+55円10月1日
東京都1,226円1,280円+54円10月1日
神奈川県1,225円1,279円+54円10月1日
新潟県1,050円1,108円+58円10月1日
富山県1,062円1,119円+57円10月1日
石川県1,054円1,113円+59円10月3日
福井県1,053円1,112円+59円10月4日
山梨県1,052円1,113円+61円11月1日
長野県1,061円1,117円+56円10月2日
岐阜県1,065円1,121円+56円10月1日
静岡県1,097円1,154円+57円10月15日
愛知県1,140円1,195円+55円10月1日
三重県1,087円1,143円+56円10月1日
滋賀県1,080円1,136円+56円10月3日
京都府1,122円1,180円+58円11月16日
大阪府1,177円1,231円+54円10月1日
兵庫県1,116円1,172円+56円10月1日
奈良県1,051円1,107円+56円10月4日
和歌山県1,045円1,101円+56円10月3日
鳥取県1,030円1,090円+60円10月3日
島根県1,033円1,092円+59円10月10日
岡山県1,047円1,104円+57円10月2日
広島県1,085円1,141円+56円10月11日
山口県1,043円1,101円+58円10月8日
徳島県1,046円1,103円+57円11月1日
香川県1,036円1,092円+56円10月1日
愛媛県1,033円1,093円+60円11月1日
高知県1,023円1,086円+63円10月29日
福岡県1,057円1,114円+57円10月4日
佐賀県1,030円1,095円+65円11月15日
長崎県1,031円1,087円+56円11月2日
熊本県1,034円1,092円+58円12月1日
大分県1,035円1,096円+61円11月1日
宮崎県1,023円1,085円+62円10月24日
鹿児島県1,026円1,090円+64円10月25日
沖縄県1,023円1,086円+63円12月2日

発効日が同じ日の県をまとめると、次のとおりです(令和8年)。10月1日に発効したのは、15の都道府県(北海道、宮城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、岐阜県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県、香川県)です。

  • 10月1日:北海道、宮城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、岐阜県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県、香川県
  • 10月2日:長野県、岡山県
  • 10月3日:群馬県、石川県、滋賀県、和歌山県、鳥取県
  • 10月4日:福井県、奈良県、福岡県
  • 10月8日:山口県
  • 10月10日:島根県
  • 10月11日:広島県
  • 10月14日:秋田県
  • 10月15日:静岡県
  • 10月16日:福島県
  • 10月18日:茨城県
  • 10月24日:宮崎県
  • 10月25日:鹿児島県
  • 10月29日:青森県、高知県
  • 10月30日:山形県
  • 11月1日:山梨県、徳島県、愛媛県、大分県
  • 11月2日:長崎県
  • 11月15日:佐賀県
  • 11月16日:京都府
  • 12月1日:岩手県、熊本県
  • 12月2日:沖縄県

使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者の範囲、最低賃金額、算入しない賃金、効力発生日を、常時作業場の見えやすい場所に掲示するなどの方法で、労働者に周知する必要があります(厚生労働省)。

最低賃金と比べるのは、毎月支払われる基本的な賃金だけ

最低賃金の対象になるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。実際に支払われた賃金から、次の賃金を除いたものを、時間あたりの額に直して比べます(厚生労働省)。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  • 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  • 午後10時から午前5時までの労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

条文では、最低賃金法4条3項が、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金などを算入しないと定め、最低賃金法施行規則1条が、臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、所定労働時間を超える労働・所定労働日以外の労働に対する賃金、午後10時から午前5時までの労働に対する賃金のうち通常の賃金を超える部分を挙げています(労働基準法37条4項で厚生労働大臣が定める地域や期間は、午後11時から午前6時まで)。精皆勤手当、通勤手当、家族手当は、同法4条3項3号の「その最低賃金において算入しないことを定める賃金」にあたるものと、この記事は読んでいます(条文と厚生労働省の一覧を突き合わせた読みで、各県の最低賃金の決定書に書かれているかどうかまでは確認していません)。

つまり、残業代やボーナス、通勤手当を足して「最低賃金を超えている」と思っても、基本給や職務手当などの部分だけで比べると下回っていることがあります。

賃金の形ごとの換算式

  • 時給:時給 ≧ 最低賃金額(時間額)
  • 日給:日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額
  • 週給:週給 ÷ 週の所定労働時間(週によって違うときは、4週間の1週平均)≧ 最低賃金額(最低賃金法施行規則2条1項2号)。
  • 月給:月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額。1か月平均所定労働時間は、年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12 で求めます(施行規則2条1項3号は、月によって所定労働時間が違うときは「一年間における一月平均所定労働時間数」で割ると定めています)。
  • 出来高払制(歩合給など):賃金の総額 ÷ その期間に出来高払制で働いた総労働時間 ≧ 最低賃金額
  • いくつかが混ざっている場合:それぞれを時間額に換算して合計し、最低賃金額と比べます。

厚生労働省の計算例と、令和8年度の額での例

  • 月給のAさん:基本給150,000円、職務手当30,000円、通勤手当5,000円、時間外手当35,000円(合計220,000円)、年間所定労働日数250日、1日8時間、最低賃金1,000円。通勤手当と時間外手当を除いた180,000円を換算すると、(180,000円 × 12か月)÷(250日 × 8時間)=1,080円で、最低賃金以上です。
  • 日給と月給の手当が混在するBさん:日給6,000円(1日8時間)、職務手当25,000円(通勤手当5,000円を除く)、最低賃金950円。日給は750円、手当は(25,000円 × 12か月)÷(250日 × 8時間)=150円で、合計900円。950円を下回ります。
  • 歩合給のCさん:歩合給168,000円(時間外・深夜の割増賃金は算入しない)を、その歩合給を得るために働いた総労働時間200時間で割ると、840円。最低賃金950円を下回ります。
  • 固定給と歩合給のDさん:固定給136,000円 ÷ 170時間=800円、歩合給50,000円 ÷ 200時間=250円で、合計1,050円。最低賃金950円以上です。
  • 大阪労働局の月給制の例(大阪府の1,231円、令和8年10月1日発効と比較):年間所定労働日数269日、1日7.5時間なら、1か月平均所定労働時間は269 × 7.5 ÷ 12 = 168.125時間。月給206,800円 ÷ 168.125時間 = 1230.03…円で、1,231円を下回ります。同じ月給でも、旧額の1,177円なら上回っていた、という差が出る例です。

上の数字は、記事に載せた式と同じ計算を、テストした計算部品でビルド時に再計算したものです。日給・月給・時給の換算は、勤務時間の計算でも月給から時間あたりの賃金を出せます。年間所定労働日数は、暦日数から年間休日を引いた日数なので、年間休日と1日の所定労働時間からの1箇月平均所定労働時間は年間休日の計算で確かめられます。

地域別と特定(産業別)、減額の特例

  • 最低賃金には、各都道府県に1つずつの地域別最低賃金と、特定の産業について定める特定(産業別)最低賃金があります。特定(産業別)最低賃金は地域別より高い水準で定められ、両方が適用される労働者には、高い方の額以上を支払わなければなりません(厚生労働省。特定(産業別)は全国で224件、令和6年3月末現在)。
  • 地域別最低賃金は、パート、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼び名に関係なく、その都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。特定(産業別)は、18歳未満または65歳以上の人、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の人などには適用されません。
  • 一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合には、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に、最低賃金の減額の特例が認められています(精神・身体の障害で著しく労働能力が低い人、試みの使用期間中の人、認定職業訓練を受けている人のうち厚生労働省令で定める人、軽易な業務に従事する人、断続的労働に従事する人)。許可がないまま、最低賃金を下回る賃金にすることはできません。

この記事で確認できていないこと

  • 表の額と発効日は、厚生労働省の全国一覧と最低賃金特設サイトの2つで、47都道府県すべて一致することを確かめました。全国一覧は、10月11日・13日・21日の3回、読み直しています(最後の1回は、47行をこのページの表とスクリプトで突き合わせました)。東京労働局(官報公示は9月1日)、岩手労働局、大阪労働局の発表も、この表の額・発効日と同じでした。ほかの44道府県の労働局の決定・公示と、官報そのもの、各労働局長の決定書は読んでいません。
  • 賃金計算期間の途中に発効日が来るときの扱いは、大阪労働局の案内(上のとおり)だけで確認しました。厚生労働省の最低賃金制度のページ(換算式・対象となる賃金・種類・周知義務)には、この点は書かれていませんでした。
  • 最低賃金法4条と施行規則1条・2条は、2026年10月2日にe-Govで確認しました(施行前の改正はありません)。ただし、精皆勤手当・通勤手当・家族手当が各県の最低賃金の決定書でどう書かれているかは、見ていません。
  • 特定(産業別)最低賃金の令和8年度の改定額、派遣労働者に適用される最低賃金、罰則は、この記事では扱いません。
  • 実際の賃金が最低賃金以上かどうかの個別の判断は、この記事ではできません。厚生労働省の最低賃金制度のサイトに、賃金を入力して比べるチェック機能があります。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。