育児のための短時間勤務は「3歳まで」と言われます。正確には、3歳に満たない子を養育する労働者が対象で、子が3歳になると、法律上の仕組みが変わります。令和7年(2025年)10月1日からは、3歳から小学校就学前までの子について、会社が複数の働き方の措置から2つ以上を用意し、労働者が選べるようになりました。残業免除は、令和7年4月1日から、就学前まで使えます。
- 短時間勤務(23条1項):「三歳に満たない子」が対象です。このページは、最後の日を3歳の誕生日の前日と読みます(通達は「1歳に満たない」を誕生日の前日までと説明しています)。2025年5月1日生まれなら2028年4月30日までです。
- 3歳の誕生日から(23条の3):会社は、5つの措置(始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務、養育両立支援休暇、保育施設の設置運営など)から2つ以上を用意します。短時間勤務は、その選択肢の1つです。同じ子で2028年5月1日から、就学前の2032年3月31日までです。
- 残業免除・時間外労働の制限・深夜業の制限:小学校就学の始期に達するまで(6歳に達する日の属する年度の3月31日まで)、請求できます。
- 会社からの案内の時期:子が1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日までの1年間に、会社が個別に周知し、意向を確認します。2025年5月1日生まれなら2027年4月2日から2028年4月1日です。
3歳の誕生日の前後で、何が変わるか
| 制度 | 3歳に満たない子 | 3歳から小学校就学前 |
|---|---|---|
| 短時間勤務(所定労働時間の短縮) | 会社の義務(23条1項) | 会社が用意する措置の1つ(23条の3第1項3号)。選ばれなければ利用できない |
| 残業免除(所定外労働の制限) | 請求できる(16条の8) | 請求できる(令和7年4月1日から。以前は3歳に満たない子だけ) |
| 時間外労働の制限・深夜業の制限 | 請求できる(17条・19条) | 請求できる(就学前まで) |
| テレワークなど(在宅勤務等) | 短時間勤務をさせない業務の人への代替措置の1つ(23条2項) | 会社が用意する措置の1つ。月10労働日以上(規則75条の3) |
| 子を養育するための休暇 | この法律の措置にはありません(看護等休暇は別) | 措置の1つ(養育両立支援休暇)。年10労働日以上(規則75条の3第4項) |
「会社が用意する措置の1つ」とは、会社が選んだ2つ以上の措置の中から、労働者が1つ選んで申し出る、という意味です。23条の3第1項は、事業主が、始業時刻変更等の措置、在宅勤務等の措置、育児のための所定労働時間の短縮措置、養育両立支援休暇(子の看護等休暇、介護休暇、年次有給休暇を除く)を与える措置、その他の措置(保育施設の設置運営など)のうち2つ以上を講ずると定めます。事業主は、講ずる前に、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴かなければなりません(同条4項)。
つまり、3歳になっても、短時間勤務が必ず使えるわけではありません。会社が選んだ措置に短時間勤務が入っていなければ、法律上の短時間勤務の権利は、3歳の誕生日の前日で終わります。会社が就業規則で、3歳以降も短時間勤務を認めているかどうかは、会社のルールを確認してください。
3歳に満たない子の短時間勤務で、例外があるとき
短時間勤務の措置は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含まなければなりません(施行規則73条)。1日の所定労働時間がもともと6時間以下の労働者は、対象外です(同72条)。23条1項のただし書は、労使協定で、雇用された期間が1年に満たない労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者(同73条の2)、業務の性質や実施体制から短時間勤務が困難な業務に就く労働者を、対象外にできると定めます。業務が困難なために短時間勤務を講じない労働者には、会社は、育児休業に準ずる措置、在宅勤務等の措置、始業時刻変更等の措置のいずれかを講じます(23条2項)。
残業免除・時間外労働の制限・深夜業の制限は、就学前まで
これらは、「小学校就学の始期に達するまでの子」を養育する労働者が請求できます。厚生労働省の通達は、これを、その子が6歳に達する日の属する年度の3月31日までと説明し、令和2年7月1日生まれの子の例で、令和9年3月31日までとしています。4月1日生まれの子は、3月31日に6歳に達するので、その日が最後です。2025年5月1日生まれの子の最後の日は、2032年3月31日です。
- 請求は、制限を受けたい期間(所定外労働の制限と時間外労働の制限は1か月以上1年以内、深夜業の制限は1か月以上6か月以内)の初日と末日を明らかにして、制限開始予定日の1か月前までにします(16条の8第2項、17条2項、19条2項)。
- 時間外労働の制限は、1か月24時間、1年150時間を超えて、時間外労働をさせてはならない、というものです(17条1項)。
- 事業の正常な運営を妨げる場合、会社は請求を拒めます。雇用された期間が1年に満たない労働者などは、労使協定で対象外にできます。
会社が個別に知らせる時期:子が1歳11か月に達する日の翌々日から
23条の3第5項は、会社が、3歳に満たない子を養育する労働者に、措置の内容を知らせ、どれを選ぶかの意向を確認することを定めます。その期間は、施行規則75条の8が、子が1歳11か月に達する日の翌々日から、2歳11か月に達する日の翌日までの1年間とします。厚生労働省は、これを「3歳の誕生日の1か月前までの1年間」とも説明しています。
日付の数え方は、通達とQ&Aに例があります。たとえば3月15日生まれの子の周知期間は、1歳の2月16日から2歳の2月15日までです。3月31日生まれの子は、2月に31日がないので、「1歳11か月に達する日」が2月の月末(閏年でなければ2月28日)になり、期間は3月2日から始まります。令和7年10月1日の施行日の時点では、令和4年10月31日から令和5年10月30日までに生まれた子が、この期間の中にいます(Q&A)。それより前に生まれた子(2歳11か月に達する日の翌日を過ぎている子)は、法律上、周知・意向確認は不要です。それでも、3歳の誕生日から措置は利用できます。
自分の子の日付は、子の年齢で決まる育児制度の期限の計算で調べられます。育児休業の延長などは育休の延長のガイド、9歳までの看護休暇は子の看護等休暇のガイドにあります。
この記事で確認していないこと
- 「三歳に満たない子」の最後の日を3歳の誕生日の前日とする読みは、このページの読みです。通達は「1歳に満たない」を誕生日の前日までと説明していますが、3歳について日付で示した例は、通達にもQ&Aにもありません。
- 各措置の細かい要件(始業時刻変更等の具体的な制度、在宅勤務等の対象業務、時間単位の取得の扱い)、労使協定の手続、不利益取扱いの禁止、介護の措置は読んでいません。
- 会社ごとの就業規則(法律より長い短時間勤務や、法律にない制度)は、会社に確認してください。雇用保険の育児時短就業給付金、社会保険料の免除は、この記事の対象外です。
- 条文は、e-Govの現行の本文を2026年10月20日に確認しました。育児・介護休業法に未施行の版はありません。
出典
- e-Gov法令検索 — 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(16条の8 所定外労働の制限、17条 時間外労働の制限、19条 深夜業の制限、23条 所定労働時間の短縮措置と代替措置、23条の3 三歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置。2026年10月1日施行の版。2026年10月20日に確認)
- e-Gov法令検索 — 同法施行規則(72条・73条・73条の2 短時間勤務の対象外の者と措置の内容、75条の2 始業時刻変更等の措置、75条の3 在宅勤務等・短時間勤務・休暇の要件、75条の6 労使協定で除外できる者、75条の8 個別の周知・意向確認の期間)
- 厚生労働省 — 通達「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」(令和7年10月1日適用。12・13・17 柔軟な働き方の措置、「1歳11か月に達する日」の日付の例、6 所定外労働の制限)
- 厚生労働省 — 令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和7年9月24日時点。Q2-1 措置と残業免除の対象拡大、Q2-19 個別の周知・意向確認の方法、Q2-21・Q2-22 期間の計算と施行日時点の対象)