定期借家の終了通知を忘れた・遅れたらどうなる? 満了の1年前から6か月前までの通知期間と、遅れたときは通知から6か月(満了日ごとの早見表)

期間が1年以上の定期借家で、貸主が満了の1年前から6か月前までの間に終了の通知をしなかったとき、終了を借主に主張できません(借地借家法38条6項)。遅れて通知しても、通知の日から6か月を経過した後は主張できます。満了日ごとの通知期間の早見表、通知が届いた日ごとの終了日、普通借家(通知がないと従前と同じ条件で更新)との違い、通知の方法を、国土交通省の標準契約書の解説コメントとあわせて整理します。

公開日 2026年10月29日

定期借家(定期建物賃貸借)は、更新がなく、期間が満了すれば終わる契約です。ところが、期間が1年以上のとき、貸主は、満了の1年前から6か月前までの間に「終了します」と借主に通知しなければなりません。この通知を忘れた、または遅れたとき、契約はどうなるのでしょうか。この記事では、借地借家法の条文と、国土交通省の標準契約書の解説コメントから、通知期間の数え方、遅れたときに終了がいつになるか、普通借家との違いを、日付の例つきで整理します。

結論
  • 期間が1年以上の定期借家で、貸主が通知期間(満了の1年前から6か月前までの間)に終了の通知をしなかったとき、貸主は終了を借主に主張できません(借地借家法38条6項)。
  • 通知期間のあとに通知しても無駄にはならず、通知の日から6か月を経過した後は、終了を主張できます(同項ただし書)。遅れた分だけ、借主が住み続けられる期間が延びます。
  • 普通借家は、通知がなければ、従前と同じ条件で更新したものとみなされ、期間の定めがなくなります(26条1項)。同じ「通知期間」でも、定期借家は「終了を主張できる日が遅れる」、普通借家は「契約が更新される」という、ちがう結果になります。

通知期間は満了日ごとにこうなる(早見表)

38条6項の「期間の満了の一年前から六月前までの間」を、日付に直すと、満了日の数え方で1〜3日ずれることがあります。契約期間は満了日の終わりに満了すると見て、翌日から暦で逆算する読み(読みA)と、満了日そのものから暦で逆算する読み(読みB)の2つを出し、どちらでも期間内になる日を「確実」としました。月の途中の満了日なら2つは一致しますが、月末や2月がからむと差が出ます。通知は、相手に届いた時に効力が生じるので(民法97条1項)、表の日付は通知が届く日です。

満了日読みA(満了の終わりから)読みB(満了日から)確実な期間
2027年3月31日2026年4月1日〜2026年9月30日2026年3月31日〜2026年9月30日2026年4月1日〜2026年9月30日
2027年6月15日2026年6月16日〜2026年12月15日2026年6月15日〜2026年12月15日2026年6月16日〜2026年12月15日
2027年8月31日2026年9月1日〜2027年2月28日2026年8月31日〜2027年2月28日2026年9月1日〜2027年2月28日
2027年9月30日2026年10月1日〜2027年3月31日2026年9月30日〜2027年3月30日2026年10月1日〜2027年3月30日
2027年12月31日2027年1月1日〜2027年6月30日2026年12月31日〜2027年6月30日2027年1月1日〜2027年6月30日
2027年2月28日2026年3月1日〜2026年8月31日2026年2月28日〜2026年8月28日2026年3月1日〜2026年8月28日
2028年2月29日2027年3月1日〜2027年8月31日2027年2月28日〜2027年8月29日2027年3月1日〜2027年8月29日

条文にも国土交通省の資料にも、この日付の数え方の例は見つかっていません。上の表は、条文の言葉を民法の期間の計算(140〜143条)で読んだものです。期限ぎりぎりのときは、前に余裕をもって届くようにするのが安全です。満了日を入れて計算するには、賃貸の終了通知・更新拒絶の通知期限の計算が使えます。

通知が遅れると、終了はいつになるか

38条6項のただし書は、貸主が通知期間の経過後に通知した場合は、その通知の日から6か月を経過した後は、終了を借主に対抗できる、と定めています。国土交通省の標準契約書の2条4項は、これを「その通知の日から6月を経過した日に賃貸借は終了する」と書き、解説コメントは、通知をしなかった場合は当初と同一条件の賃貸借が続き、期間は貸主の通知後6月を経過した日に終了する、としています。

満了日が2027年3月31日の定期借家で、通知が届いた日ごとに、終了を主張できる最初の日を並べると、次のとおりです(通知の日の翌日から6か月を数え、その満了日の翌日以後としました)。

通知が届いた日通知期間6か月の満了日終了を主張できる最初の日
2026年9月30日期間内(最後の日)—満了日(2027年3月31日)
2026年10月1日期間のあと2027年4月1日2027年4月2日
2026年12月31日期間のあと2027年6月30日2027年7月1日
2027年3月31日期間のあと2027年9月30日2027年10月1日
2027年5月15日期間のあと2027年11月15日2027年11月16日

通知期間内に届いた最初の行は、満了日の2027年3月31日に終了します。通知期間の最後の日の翌日に届いた2行目は、2027年4月2日以後でないと終了を主張できません。満了日を過ぎてから通知した最後の行では、通知から6か月が過ぎる2027年11月16日まで、貸主は同じ条件で貸し続けることになります。標準契約書の解説コメントは、その間、貸主は借主に使用収益させる義務を負い、借主は賃料を払う義務を負う、と書いています。借主が契約を続ける意思がないときは、特別な手続きなしに終わらせることができる、ともあります。

普通借家は、通知がないと更新される

期間の定めがある普通の建物賃貸借でも、期間の満了の1年前から6か月前までの間が、通知期間です(26条1項)。当事者(貸主も借主も)が、この間に更新しない旨を通知しなかったときは、従前と同じ条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、期間は定めがないものになります。そのあと貸主が契約を終わらせたいときは、解約の申入れをして、申入れの日から6か月を経過すると終わります(27条1項)。貸主からの更新拒絶・解約の申入れには、正当の事由が必要です(28条)。

定期借家普通借家
通知をする人貸主(期間が1年以上のとき)当事者のどちらも(更新しない旨)
通知期間満了の1年前から6か月前までの間(38条6項)同じ(26条1項)
通知しなかった・遅れたとき通知の日から6か月を経過した後に終了を主張できる従前と同じ条件で更新したものとみなされ、期間の定めがなくなる
正当の事由28条の対象は、26条1項の通知と解約の申入れ。38条6項の終了の通知は対象ではない貸主の更新拒絶には必要(28条)
契約を続けたいとき更新はできず、新しく「再契約」をする(標準契約書2条2項)通知をしなければ更新される

通知の方法で気をつけること

  • 通知は、相手に届いた時に効力が生じます(民法97条1項)。相手が正当な理由なく届くのを妨げたときは、通常届くはずだった時に届いたものとされます(同条2項)。期限ぎりぎりに出すのではなく、届くまでの日数を引いて、余裕をもって出します。
  • 標準契約書は、通知を書面で行うものとしています(2条3項)。解説コメントは、通知期間内に行ったことが明らかになるよう、内容証明郵便などの方法が望ましい、としています。解説コメントは、通知の雛形として「定期賃貸住宅契約終了についての通知」を参照するよう案内しています。
  • 定期借家は更新できないので、そのまま住み続けたい場合は、再契約をします(標準契約書2条2項。再契約は定期借家に限らず、普通借家でもよいと解説コメントにあります)。

この記事で確認していないこと

  • 通知期間の日付の数え方は、公的な日付の例がなく、このページの読みです。通知期間より早すぎる通知の効力、通知期間のあと(特に満了後)に通知したときの裁判所の判断は、確認していません。弁護士や不動産会社に確かめてください。
  • 定期借家の契約が有効に成立しているか(書面による契約、事前説明の書面。38条1〜5項)、借主からの中途解約(居住用で床面積200平方メートル未満の場合、やむを得ない事情があれば解約の申入れから1か月。38条7項)、立退料と正当の事由の判断は扱いません。借主の解約は賃貸住宅の解約は何日前に伝える?にあります。
  • 借地借家法は2026年5月21日施行の版を、2026年10月29日にe-Govで確認しました。契約書の特約が、いつでも優先する場合があります(借主に不利な特約は無効、38条8項)。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。