未払い賃金・残業代の遅延損害金の計算
払われていない給料・残業代の遅延損害金(遅延利息)を、支払期日ごとに計算します。在職中は民法の法定利率の年3%、退職した人の賃金は退職の日の翌日から年14.6%(賃金の支払の確保等に関する法律6条・施行令1条)。退職手当は年14.6%の対象外。付加金・時効の注意点も、労働基準法の条文で確認できます。
未払い額と支払期日を入れると、遅延損害金(在職中は年3%、退職後の賃金は退職の日の翌日から年14.6%)が表示されます。
遅延損害金のルール(年3%と、退職後の年14.6%)
- 賃金の支払期日が決まっていて、その日までに払われなかったときは、その期日の経過から遅れた責任(履行遅滞)が生じます(民法412条1項)。お金の支払いが遅れたときの損害賠償は、遅れた最初の時点の法定利率で決まり、損害の証明は要りません(419条1項・2項)。法定利率は年3%で、令和2年(2020年)4月1日から令和11年(2029年)3月31日までは、法務省の表のとおりずっと年3%です。
- 退職した労働者の賃金(退職手当を除く)が、退職の日(退職の日より後に支払期日が来る賃金は、その支払期日)までに払われなかったときは、退職の日の翌日から支払う日までの日数に応じて、年14.6%の遅延利息を払わなければなりません(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、施行令1条)。条文は「年14.6パーセントを超えない範囲内で政令で定める率」で、政令が年14.6パーセントと定めています。
- 退職の日の翌日より前の分は、この法律の対象ではありません。このツールは、退職の日までは民法の年3%、その翌日から年14.6%とし、14.6%に置き換えて、足し合わせません。退職手当は6条1項で「賃金」から除かれているので、退職後も年3%で計算します。
- 日数は、支払期日(または退職の日)の翌日から、支払う日までを数えます。期日の日は入らず、支払う日は入ります。1日あたりの利率は、年14.6%を365日で割ると、ちょうど0.04%です。年3%も365日で割ります(うるう年に366日で割る読みは採りません。差は最大で約0.27%です)。
計算の例
- 未払いの残業代100万円、支払期日2024年3月25日(月)、退職した日2024年3月31日(日)、支払う日2024年6月30日(日)のとき、退職の日までの6日は年3%、その翌日から91日は年14.6%です。100万円 ×(3% × 6日 + 14.6% × 91日)÷ 365日で、遅延損害金は36,893円(1円未満切り捨て)です。
- 同じ未払いが、退職しないまま2024年6月30日(日)まで続いたときは、年3%が97日分で7,972円です。退職すると、同じ日数でも率がちがうため、利息の増え方が変わります。
- 退職金300万円が、退職の日(2024年3月31日(日))の1年後(2025年3月31日(月))まで払われなかったときは、年14.6%ではなく年3%で、365日分の90,000円です(退職金規程などで率が決まっていれば、そちらが先です)。
利息のほかに確認すること
- 時効: 労働基準法の賃金の請求権の時効は、本則では5年ですが、当分の間は3年(退職手当は5年)です(115条、附則143条3項)。支払期日の古い分から消えていくため、期日ごとの確認が必要です。日付の計算は時効の完成日の計算、考え方はガイド「未払い残業代はいつまで請求できる?」にあります。
- 付加金: 解雇予告手当(20条)、休業手当(26条)、割増賃金(37条)、年次有給休暇の賃金(39条9項)を払わなかった使用者に対して、裁判所は、労働者の請求により、未払金と同一額の付加金の支払を命じることができます(114条)。請求は違反のあった時から5年以内(当分の間は3年以内)です。付加金は遅延損害金とは別のもので、このツールの金額には入っていません。
- 退職時の請求: 労働者が退職して権利者から請求があったときは、使用者は7日以内に賃金を支払わなければなりません。賃金に争いがあるときも、異議のない部分は7日以内に払います(23条)。このツールの「支払期日」は、実際に払うと決まっていた日で入力してください。
このツールが計算しないこと、確認できていないこと
- 退職後の年14.6%は、賃金の支払の遅れが、天災地変、事業主の破産手続開始の決定など、法令の制約による資金確保の困難、支払が遅れている賃金の存否を合理的な理由により裁判所または労働委員会で争っていること、その他これらに準ずる事由による場合は、その事由のある期間は適用されません(6条2項、施行規則6条)。どれに当たるかはこのツールでは判断せず、計算に入っていません。
- 令和2年(2020年)3月31日までに遅れ始めた分は、民法の改正前の利率(附則17条3項の「従前の例」)で、計算しません。令和11年(2029年)4月1日以降に遅れ始める分の法定利率は未確定のため、計算しません。
- 日割りの分母(365日)、日数の数え方(期日の翌日から支払う日まで)、退職の日までの分を年3%とすること、1円未満を1件ごとに切り捨てることは、条文に書かれていないこのページの読みです。官公庁の資料に、金額まで書かれた計算例は見つけられませんでした。裁判所は、判決で別の率や日数を命じることがあります。
- 残業代そのものの金額(割増賃金の計算、固定残業代)、立替払制度(賃金の支払の確保等に関する法律7条)、元本に対する利息の充当、和解で遅延損害金を免除することは扱いません。固定残業代は固定残業代の逆算、手続きは労働基準監督署や弁護士にご相談ください。
- 法令は、2026年10月31日にe-Govで、法定利率は法務省のページで確認しました(民法の現行は2026年6月24日施行、労働基準法の現行は2026年7月17日施行の版)。
出典
- e-Gov法令検索 — 賃金の支払の確保等に関する法律(6条 退職労働者の賃金に係る遅延利息。2026年10月31日に確認)
- e-Gov法令検索 — 賃金の支払の確保等に関する法律施行令(1条 遅延利息の率は年14.6パーセント)・同施行規則(6条 遅延利息が適用されないやむを得ない事由)
- e-Gov法令検索 — 民法(404条 法定利率、412条 履行期と履行遅滞、419条 金銭債務の特則。2026年6月24日施行の版。附則17条3項 施行日前に遅滞となった場合は従前の例)
- 法務省 — 令和8年4月1日以降の法定利率について(令和8年4月1日〜令和11年3月31日の法定利率は年3%。令和11年4月1日以降は未確定)
- e-Gov法令検索 — 労働基準法(23条 金品の返還、114条 付加金、115条 時効、附則143条)
計算結果は一般的な目安であり、法律・税務その他の専門的助言ではありません。航空券や契約書、期限の管理など重要な場面では、公式の情報や専門家の説明でもご確認ください。