有給休暇は時間単位・半日単位で取れる? 計画的付与と、年5日の取得義務に数えられるもの

時間単位年休は労使協定があれば年5日分まで(上限時間は1日の所定労働時間から計算)、半日単位は労働者の希望と使用者の同意で、計画的付与は5日を除いた分を労使協定で日を決めて取らせる制度です。労働基準法39条と厚生労働省のリーフレットにそって、年5日の取得義務に数えられるものと、産休・育休中の出勤みなしを整理します。

公開日 2026年10月2日

年次有給休暇は、1日単位で取るのが原則です。ただし、会社が労使協定を結んでいれば1時間単位でも取れ、半日単位で取れる会社もあります。また、会社が日を決めて取らせる「計画的付与」という制度もあります。この記事では、労働基準法39条と厚生労働省のリーフレットにそって、時間単位年休、半日単位年休、計画的付与のルールと、「年5日の取得義務」に数えられるものを整理します。

個々の会社の制度(就業規則や労使協定の内容)は、会社ごとに違います。この記事は、法律が定める枠組みの説明で、自分の会社で何ができるかは、就業規則と労使協定で確認してください。

基本:いつ休むかは、労働者が決める(時季指定権と時季変更権)

使用者は、有給休暇を、労働者が請求する時季に与えなければなりません。ただし、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に与えることができます(39条5項、時季変更権)。厚生労働省のリーフレットは、同じ期間に多数の労働者が休暇を希望したため全員に付与し難い場合などを例にしています。

時間単位年休:労使協定があれば、年5日分まで

労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定で、次の事項を定めた場合に、労働者が時間単位で請求したとき、時間単位で有給休暇を与えることができます(39条4項)。

  • 時間を単位として有給休暇を与えることができる労働者の範囲
  • 時間を単位として与えることができる有給休暇の日数(5日以内に限る)
  • その他の厚生労働省令で定める事項(施行規則24条の4):時間単位年休1日の時間数(1日の所定労働時間数を下回らないもの。日によって違うときは、1年間の1日平均所定労働時間数)、1時間以外の時間を単位とする場合のその時間数(1日の所定労働時間数に満たないもの)

ここから導けるのは、次のとおりです(条文からこの記事が計算したもので、公的な計算例ではありません)。1日の時間数は所定労働時間を下回れないので、1時間単位なら、整数時間でそれ以上になります。1日の所定労働時間が7時間30分なら、1日の時間数は8時間になり、時間単位で取れる上限は、5日 × 8時間 = 40時間です。所定労働時間が7時間なら5日 × 7時間 = 35時間です。

時間単位年休には、リーフレットが挙げる次の特徴があります。時間単位の年休は、使用者が時季を指定する年5日の対象にはならず、労働者が自分で取得した場合も、その時間分を年5日から差し引くことはできません。また、時間単位で取った日の賃金は、就業規則などで定めるところにより、所定労働時間労働した場合の通常の賃金、平均賃金、または労使協定で定めた場合は健康保険の標準報酬月額の30分の1にあたる額(またはこれを基準にした額)で支払うことになっています(39条9項)。

半日単位年休:条文にはなく、労働者の希望と使用者の同意で

半日単位の年休は、39条の条文には出てきません。厚生労働省のリーフレットは、労働者が半日単位での取得を希望して時季を指定し、使用者が同意した場合であれば、1日単位取得の阻害とならない範囲で、半日単位で与えることができると説明しています。半日単位は、労使協定が必要な時間単位年休とは別のものです。リーフレットによれば、労働者が自分で半日単位の年休を取った場合は、1回につき0.5日として、使用者が時季を指定すべき年5日から差し引くことができます。使用者が時季を指定するときに、労働者の希望を聞いたうえで半日単位にすることもできます。

計画的付与:5日を除いた分を、労使協定で日を決めて取らせる

労使協定で有給休暇を与える時季を定めたときは、有給休暇の日数のうち5日を超える部分について、その定めにより与えることができます(39条6項)。この場合は、労働者の請求する時季に与えるという5項の原則は当てはまりません。つまり、少なくとも5日は、労働者が自由に取れる分として残さなければなりません。リーフレットが説明するポイントは次のとおりです。

  • 導入には、就業規則への規定と、労使協定の締結が必要です。労使協定は、労働基準監督署に届け出る必要はありません。
  • 方式は、事業場全体の休業による一斉付与、班・グループ別の交替制付与、年次有給休暇付与計画表による個人別付与の3つです。夏季や年末年始、ゴールデンウィークの前後、祝日の間の「ブリッジホリデー」、誕生日などの記念日に使われています。
  • 労使協定で定める項目は、計画的付与の対象者、対象となる有給休暇の日数、具体的な方法、有給休暇の日数が少ない者の扱い、計画的付与日の変更の手続です。
  • 計画的付与の時季に、育児休業や産前産後の休業に入ることがわかっている人や、定年などで退職することがわかっている人は、対象から外しておきます。
  • 一斉付与のとき、新規採用者などで5日を超える有給休暇がない人には、一斉の休業日を有給の特別休暇とするか、休業手当として平均賃金の60%以上を支払うか、のいずれかをとります(リーフレット)。平均賃金は平均賃金の計算で確かめられます。
  • 計画的付与で取得した年休は、年5日の取得義務の5日としても数えられます(リーフレット)。

年5日の取得義務に数えられるもの

有給休暇が10日以上与えられる労働者について、使用者は、基準日から1年以内に、そのうち5日を、労働者ごとに時季を定めて与えなければなりません(39条7項)。使用者による時季指定、労働者自身の請求による取得、計画的付与のどれかで合計5日以上取れていればよい、というのがリーフレットの説明です(39条8項は、5項・6項で5日以上与えた分は、時季を指定することを要しないとしています)。数えられるかどうかを、リーフレットの記述でまとめると、次のとおりです。

  • 計画的付与の日:数えられる。
  • 労働者が自分で半日単位で取った分:1回につき0.5日として数えられる。
  • 時間単位年休:数えられない(時季指定の対象にもならない)。
  • 前年度から繰り越した年休を取った分:数えられる(取った年休が、繰越分か当年度に付与された分かは問わない)。
  • 会社独自の特別休暇:有給休暇ではないので、5日には数えられない(リーフレットは、特別休暇を、年休に加えて目的や取得形態を任意に設定できる会社独自の制度と説明しています)。

基準日と、年5日の期限の考え方は、有給休暇の付与日を統一すると年5日の期限はどう変わる?に、付与日数の計算は有給休暇の付与日数計算にまとめています。

産休・育休中は、出勤したものとみなされる

有給休暇が発生する条件(雇入れから6か月の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤)の判定では、業務上のケガや病気で療養のために休業した期間、育児休業・介護休業をした期間、産前産後の女性が労働基準法65条によって休業した期間は、出勤したものとみなされます(39条10項)。休業した期間があっても、そのぶん出勤率が下がるわけではありません。産前産後休業の期間は産前産後休業の期間の計算、育児休業は育児休業の期間の計算、介護休業は介護休業の日数の計算で確かめられます。

産休・育休などの期間を、有給休暇の日数の計算で「出勤したもの」として扱うのは、出勤率の判定(8割要件)についての規定です。休業中に、有給休暇を使えるか、賃金がどうなるかは、別の問題で、この記事では扱いません。

この記事で確認できていないこと

  • 半日単位年休の法的な根拠(通達など)は読んでいません。この記事の説明は、厚生労働省のリーフレットの記述によります。
  • 時間単位年休の賃金の計算の細目(施行規則24条の3、標準報酬日額で払う場合の扱い)と、5日を超える繰越分を時間単位で使えるか、などの運用は扱っていません。
  • 計画的付与の労使協定で、使用者が計画日を一方的に変更できるか、などの個別の判断は、この記事ではできません(リーフレットは、変更の手続を労使協定で定めておくよう述べています)。
  • リーフレットは、厚生労働省のサイトに掲載されている「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」(2023年に掲載)を、2026年10月2日に読みました。新しい版がないかは、確認の頻度を決めて見直します。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法律その他の専門的助言ではありません。法令や制度は改正されることがあり、個別の事情によって結論が変わる場合もあります。契約書や重要な手続については、条文や公的機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。